ピアニストの夢を見た
9日目
瞑想のコース(リトリートともいう)が終わりに近づいてきた。毎日の繰り返しもなれた。この瞑想修行のためにかった魔法瓶はいつも持ち歩いていた。お湯を入れて僕は瞑想のホールの廊下にわかりやすいように窓の近くに置いていた。みんな同じようにいろいろな場所に置いていた。
眼鏡をしながら瞑想をはじめにしていたとき、メガネはしてはいけないと何の理由も説明されずに言われた。
しょうがないから眼鏡ケースを瞑想ホールに持っていって自分の目の前に置いていた。
ある日誰かにふまれて、ぐっしゃりとケースが曲がってしまって少しばかり憤慨した。
安物のケースに腹を立ててもしょうがないが、なぜかしばらくの間気持ちがそのことですぐれなかった。
特に人とのコミュニケーションをとっていなかったせいか、小さいことで苛ついてしまった。無言の誰かが踏みつけ、誰ともしゃべってはいけない環境で
「誰か僕のケースを踏みつけませんでしたか?」
と500人の修行にきた瞑想人に聞くわけにはいかなかった。
昨日来たような気もした10日間が終わりに近づいている。
ここでやってきたことは果たして意味があったのか、瞑想をしてるようで寝てばかりいたのではないか?
この10日間で僕は本当に悟りを開けたのだろうか?
などいろいろと考えていた。
ただ毎日のヴェジタリアンのおいしい食事、無言でいろいろなことを休憩の時は考えられたから日々の生活はとても楽しかった。
夢
イタリアの夢を見た。僕は両親といた。前にあった、ずっとさがしていた日本人のピアニストに会った(記憶にないが実際にロンドンで出会ったピアニストで今は深い友人である)。彼は彼の名前をはっきりと夢で教えてくれた が、忘れてしまった。
彼は僕らをイタリアのある街につれていってくれた、たぶんヴェローナだろう、ペルージャかそれかフィレンツェか。どうやらその後 フィレンツェになっていった。なぜなら彼がレストランかカフェに連れて行ってくれた時に、
ぼくは
「この場所知ってるよ!」
と声を高々とあげたからだ。
けれどもそこに言った記憶など現実世界にはなかった。
カフェテラスがあって、5,7このテーブルがでてる。
バルコニーのようで、とても上品で、フェンスのむこうには 美しい街がみえる。右側の風景には海か湖のビーチがみえる。
とても暑い。日照りの強い日だった。
その後、カフェはコンサートホールへと変化した。
日本人ピアニストに話しかけようとしたが、両親がぼくを何度もさえぎったり、なにか問題を抱えていたので、話すことができなかった。
男は僕らのうしろにいるヨーロッパ人の女性2人と話し始めた。
僕らに飽きて彼の友達と話したくなったのかと思って、 がっかりする。
ところが、後で気づくと、彼は僕の横にいて、後ろにいる男性は彼の兄弟だった。
そしてステージは前ではなく後ろにあることに気付く。
とても 高い場所にあるので、首を直角に曲げなくてはいけなかった。左にいた僕らがなぜか右側に移動した(ステージに向かって)。
5,6人がクラシックなのか ジャズなのか、音楽を奏でている。ほとんどの演奏者は黒人だった。彼らはとても奇妙でおもしろい古楽器のようなものを弾いていた。
よくみると、チェロのようでベースのようにも見えた。
「昔の古楽器はいまの楽器よりとてもいい音なのよ。」
と母か誰かが言った。
男が弓を落としてしまう。そして観客の誰かが席の端にそれを置いた。観客は演奏者がそんなことをして嬉しくないことをわかっててやったようだ。そして演奏者は笑みを浮かびながら渡してくれるように頼む。
その後、その奏者がステージからまっさかさまに落ちる。大体7m位高いところから。彼は見せびらかしのためか、それともその怒りによってやっ たのかどちらかだった。しかし落ち方が*****った(軽かったと書いたか、だるかったと書いたか記憶にない)
彼はそのまま直立して人形のようにおちていき、椅子の端に思いっきりぶつかり動かなくなる。反対側の 席と僕らの席には通路があった。母親が即座に立ち上がって彼を起こそうとした。2人のスタッフがレスキューに来る。
別のシーンになる。とても開けた場所。高いビル。柱だけで壁がなかった。たくさんの同じようなビルに囲まれていた。色はさびた茶色だったような気がする。
僕の父は家を建てていた。そのビル自体を建てているようだった。
4つの柱。
4つの角に石膏を埋めていた。
木かそれとも違う素材か。
彼は間違いをしたと言う。
普段よく彼がいうように。
そして僕は尋ねた、
「手伝おうか?」
彼は
「いや、大丈夫」
と落ち着いた声で僕のほうを見ずに言葉を放った。
10日目
僕は、初日に誰とも話さないでいいなんて、最高だと思っていた。だけど残念なことにこの日の朝8時からしゃべってもよいことになった。
「ああ、また人がくだらないことを喋りだすのか」
と残念そうに思っていた。
まるで病院から退院して、現実に引きずり降ろされるように。
僕らが口を開け、はなしはじめたあとに、何人かの生徒が僕がインスピレーションになったと言ってくれた。
「君はちっとも動かず、綺麗な姿勢でいるのをみて、いつもやる気が出たんだよ」
この言葉は嬉しかった。僕はなぜかみんなが敵もしくは、僕のことを悪く思ってると決めつけていたので驚いた。
続く