水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

ブッダの悟りを導いたヴィパッサーナ瞑想 体験談 4/7

言葉を発しないとみんな女性的になる

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Artwork by Yoshitaka Amano - Virgin -

7日目
5平方センチくらいのまるい水滴のしみが僕のベッドについていた。ちょうど部屋に戻った時だった。ルームメイトがなにかしたのか、この謎のシミはいったいどこから来たのか今だに謎だ。

言葉を交わせない世界で、シャーロックホームズになったように謎解きするのは難しい。
 

この日は美しい満月が僕らの頭上に登った。

 

大の男が、普段しないだろうにみんな自然の森に向かって満月を草原で眺めている光景をみる。

 

女性的だなと感じる。

 

休み時間は歩くか、横になるかしかすることがないのでこんな不思議な状態をみれたのかもしれない。

8日目
 クッションなしで座れるようになった。不安が少し戻ってきた。精神的な苦しみから浮かび上がる胸の痛みが増した。

 

休み時間に小さなベッドと机がある部屋しかない小屋に住む先生に質問をしに行った。なにかを聞いたが覚えていない。

 

彼は興味深いことを僕に話した。

 

「まだ私たちは普段感じるしびれなどの感覚がいったいどんな意味をもって、精神的にどのような意味があるかは発見されてはいない。」

 

と僕にこれ以上落ち着きのない静かな言葉で僕に語った。


 小さな男の子の夢を見る。8-10歳くらいだろうか。日本の路地にいる。僕は彼にお父さんお母さんはどこにいるか聞いてみた。

彼は

「おとうさんとおかあさんは死んだ」

という。

僕は

「どこにすんでいるんだい?」

とやさしくたずねた。

彼は

「電車で寝てる」

と淡々と答える。

彼を気の毒に思い、祖父母はいるか尋ねた。今から彼は祖父母に会いに行くということだった。なぜか、ぼくは彼をぼくの腕に収め、祖父母の家へとむかう。

日本の古い家屋だ。地べたに座る。

「ここはすごく寒いね、大きなスペースがあるから、もったいない。ここを売るか、それか大きなマンションでも立ててしまえば?」

と提案してみた。祖父母はそのつもりだという。

 

夜になる。
 

そこにぼくは留守番をしなくてはいけなかった。

やがて男がやって来る。

魚屋のようだ。

魚をくらないかといわれ。

僕は少し狼狽したが、家をさがすと魚が出てきた。

僕はそれを彼に日常の出来事のように渡した。

 

続く