あの男が逃げ出した
5日目
朝4時半の朝ごはん前の早朝グループ瞑想。たった2人の男しか現れない。女性側は多くの人が瞑想していた。こういったところでは女性のほうが真面目なのかもしれない、それとも男性より深刻な理由があってみんな真面目に瞑想に来てるのかもしれない。
ブリストルからきた男が朝食で僕の前に座った。彼は僕を察しているように笑みを浮かべてる。僕は無視をしているようで、後ろめたい気持ちもしたけど、彼のトレーニングを妨げないように目を合わせないよ うにした。かれは僕のところにかけより、Emailを教えてくれと携帯を隠しながら聞いてくる。コースマネージャーがやってきて、お互いでしゃべらないよ うに注意してきた。
「おいそこ!コースの間はしゃべってはいけないといっただろう!」
まるで牢獄にいる囚人のように扱われた気分だった。
僕らはスタッフの目から離れて、なにも語らず、彼の部屋にいく。
「どうしたの?」
と僕は喜びと驚きとルールを破っている自分への避難の気持ちを混ぜながら興奮して彼にたずねる。
彼はしゃべることを楽しみながら
「もう出ようと思ってる、僕には合わないみたいだ。君に影響を与えたくないからこれ以 上言わない。」
「なんでここをでるんだい?」
理由を言えないと言ってるのに僕は聞いてしまった。
まるで初めて呼吸をする赤ん坊のような気がして、意味もない言葉をたくさん発する。
「理由は沢山ある、でも学んだよ、いろいろと、君はどうだい?」
僕は
「ああ、まあ問題ない」
と自分に言い聞かせるように彼に伝える。
僕の名刺 をおいて彼の部屋をでた。彼がどんな気持ちかなんとなくわかった。
彼はここの宗教的なところや創始者の録音された歌を聞くのにうんざりしたと言っていた。
確かにここにいることで、段々変な気分になってきた、けれど9日間一緒にいろんな人とコミュニケーションなしで静かに生活するという、日常とは違う経験をするという意味では良い経験をしていると自分に言い聞かした。
午後9時。ゴエンカ(創始者)の言葉とジョーク交じりの話を聞いて「このコースを誰かに推薦してもいいかもしれない」と思い始める。センセーション(感覚)を頭の先から足の指の先まで、足の指先から頭まで感じる訓練を始める。ここでの瞑想はひたすら体と精神のスキャニングをする。
夢
白人の殺人鬼の夢をみた。とても大きなスタジアム。5人の黒人と白人のまざった裸の娼婦のような女性がグループセックスを殺人鬼に強要される。そこに中年の女性がいて(たぶん自分自身)、彼女たちに命令して男の言いなりにさせなくてはいけなかった。
その中の一人が殺人鬼に力を見せつけるために銃で 撃たれる。彼は残りの女性とどこかに消える。
とてもきれいな青空だけが残り
僕は空を見上げる。
6日目
ロビン(イギリスの小さなオレンジ色が入った野鳥)を先生家の近くでみかける。彼は食べ物を探しているようだった。10㎝ほど僕の足の近くまでぴょんぴょんと跳ねながらよって来る。
心の中で「いま食べ物はないから明日ここでまた会おう」と彼に語りかけた
彼は僕の言葉を聞いて理解したように首をちょっと傾げて空のほうへ飛び立っていった。
今日は一時間身動きなしで瞑想できるようになった。
夢
女性(あの私が知っている)の夢をみる。彼女はショートカットだった。黒いコートをきてその下にはガーター付の上と下の黒の下着をつけ ていた。彼女の胸はブラからはみ出していて、垂れ下がっている。
ほとんど裸だった。彼女は不思議な笑みを浮かべ笑い、まるでこれで問題がないかのように道 を歩く。彼女はみているうちに大きくなり
彼女の足はどんどん短くなっていった。
続く