ポール・スミス先生と会話 - ダークサイド オブ ザ アース
前回の続き>
ポール・スミスといっても、ファッションデザイナーのポール・スミスでなくて、同姓同名の僕の武道の先生。 合気道の先生と言いたいところだが鹿島神流も教えているので、綜合武道ということで武道の先生と言わせてもらう。
怪我があって新年が開き、稽古が始まって、先生に誘われて近所のカフェへで会う。
ひさしぶりに先生のワンちゃん、プードルとラブラドールの混血メイジーちゃんにも会えた。
それにしても犬はいつも落ち着いている。何食わぬ顔である。 そして年をとればとるほど、仙人のような顔つきになっていく。不思議なものだ。
時には人間よりもこの世の事を理解してるようにも見える。
主人のために自分を犠牲となり体を張って守ったりと、まるで武士みたいだ。 いつからそうなったのか。 遠い昔人が犬になにか恩でも着せたのだろうか。それがいまでも忘れたけど守り続けているんだろうな。
「こういう時はこうしなさい」と、殴られてきたときの対応方でも話すかと思いきや、とても心配をしてくれていた。
人によってショックで外に出れない人もいると。
確かに、以前北ロンドンで僕のアシスタントが男性に襲われて、頭を打ち気絶したことがあった。
それから彼女はショックで外にでれなくなった。
僕の友人もまたそうだが、こういう時に被害にあった人にどういう態度をするかで相手がどれだけ温かいかがわかる。
冷たいからいけないというわけではないが、なにかしら心が捻じれているのだろう。
僕が家に行って話でもしようかと彼女に行ったら、仲いいはずの共通の友達は「大丈夫か」というだけで特に行動を起こさなかったことにショックを受けていた。
どういった経験をしたかでその人と成りというのはわかるものである。
ワンちゃんはもちろん僕に会えてうれしいワンってだけであったが、こころのそこでは
「大丈夫か?」と言ってくれてるような気もした。
先生と色々話をする中で、
「自分の生徒が殴るような人たちになって欲しくない」
と仰っていた。
確かに僕らは怒りはだれでも秘めているが、ダークなあっちサイドに転換することもできるのだ。
ロンドンで合気道を普及していて、ポール先生も教わっていた千葉先生は、まああの頃の時代ってのもありますが、常に喧嘩っぱやく、だれとでもやりあおうとしていたらしい。
警戒するのはいいけど、いつでも警戒したら疲れてしまうからね。と彼は言う。
ポール先生が若いころはよく問題があると仲裁にはいってしまっていたようで、奥さんが困り果てたという。
そして、僕も感じたように、なんだかやばい状態に入り込んだ瞬間ターゲットにされると言っていた。
彼はいろんなエピソードは語るが武勇伝的なはなしはしないから詳しくは知らないが、結構路上でも戦ったりはあったんだろうなぁと感じた。
道場で、僕がどういったことがあったか話す機会を与えてくれた。僕らは決してストリートで戦うために武道をやっているわけではないけれど、日々こうしてきたら、これをこうする。など護身術的な要素も、戦う要素も大いにあるので関係性がある重要なこととしてみんなと語ることにした。
で彼らのコメント。
Nさん
わたしも誰かに激怒されたりとかないので、そういうのに慣れていないからどうしたらいいかわからなくなるかも。
Wさん
暴力に論理的な世界なんかない、やるかやらないかで、彼らはなんでもやる、その世界でつねに生きてる人でないとわからないところがある。
Rさん
ついこないだ、家の近くでカップルが喧嘩をしていた、男性のほうがめちゃくちゃ怒っていて、手が付けようがないと感じたと。物はなげるしもうめちゃくちゃだったらしい。 警察を呼ぼうとしたら女性が警察は呼ばないでと言われた。
木刀を持ってこようかとしたけど、それもまた物騒だと思ったと。
合気道には攻撃的要素がない。鹿島神龍では攻撃的要素がかなりあるので、木刀を持っていたら気合いが僕も入ってたかもしれない。
彼女は結構危険な地域に住んでいるようで、同じ黒帯である彼女も、アドレナリンがどんどんあがってくるような恐い経験が何度かあったようだ。
2mくらいのでっかい男性が立ちふさがってなんども前にあらわれたり、
「いったいこの人は何をしたいのだろうか?」
と目的が分からないと余計恐ろしい。
そこでどうやって気を静めるかもまた武道の訓練で助けにはなるが、やはり実践は恐いものだ。
女性が性加害で襲われるとき「殺されるかもしれない」
と思うのと一緒だ。
はたから見たら彼らは性加害をしたいだけで、殺すつもりはないと思うかもしれない。
でも襲われる側ではそれくらいの恐さなのだ
それはまさに
彼らは「ダークサイド」にいるから。
ときどき目を見ただけで「あ、こいつやばいな」と思ったことはないだろうか? 日本ではそんなにいないが、イギリスや欧米ではよくみかける。
そういう人からはできるだけ距離を置くことである。
性加害をしたいと思う人なんて普通に考えたらかなり尋常じゃない。かなりずれている。 グレーゾーンもあるかもだが、明らかに相手がいやがってるかどうかはわかるはずだ。
人に危害を加えたいと思うこと自体がかなり曲がっていることを僕らは認識しないといけない。
性産業がなくなると、性犯罪が増えるという人が言うが、それが本当なら、みんな犯罪者がごろごろいるということだ。それだけ社会の闇が深いということになる。
ポール先生が
「よく護身術クラスとか2,3日でおしえるところがあるけど、ああいうものが一番危険だ」と語る。 ときどき僕も教えたりしてしまうが、何年もの鍛錬、またストリートでの実践をたくさんしない限り使えないと思う。
もちろん素人で、よーよーねーちゃんみたいな、中途半端にやってくる連中にはある程度の訓練で対応はできると思う。 そういうのはYoutubeでもよく見かける。
前にも述べた空間がぐにゃりと曲がったようなダークサイド状態で対応するのはかなり難しいと思う。
今度同じことがあったら
真っ先に逃げるか、逃げられなかったら先手を打つこと、丹田に力を入れて腰を落とすこと。それが
Readyness, awareness, alartness だと思う。
スイッチを入れる癖をつけてないといけない。
スケッチや写真を撮ったりもするので、クリエイティブな仕事をしてない人よりかはアンテナははってるつもりだが、隙を作るないことだと肝に銘じる。
兎に角何かあったら逃げる事。
逃げることは臆病でもなんでもない。馬鹿な連中と一緒にいる時間を避けるだけだ。走るのが早ければなおさらだ。徒競走をすることにして戦えばいい。向こうが殴るルールできたなら、こっちは走るルールに変えればいい。 そして防犯カメラがある建物やセキュリティーがいる建物に入ればいい。
最近は日本も物騒である。そしてJALの事故も含め、みんなぼーっとしている。携帯とモニターをながめすぎている。
だから大惨事が起きる。
そしてまた危害を加える人も、使命感がない。 自分に集中して健全な自分を作ることに時間を使ったらよい。
路上で誰かが危険な目にあっていたら助けることは大事だけど。
必要不可欠の時に、いざというときに自分の持ってる技術は使えばいい。
それ以外は警察の役目だ。日本の警察はどれだけ早く来るかわかないけどロンドンは早い。
前にピカデリー・サーカスで喧嘩があり、2分と立たないうちにパトカーが3台来た。 喧嘩をしてる人があまりの早さに、おどろいて固まっていたくらいだ。
と言うことで多少なショックは僕の心の中に少し残ってはいるだろうが、良い経験としてまた先に進むことにする。