彼女の子供の名前は登理有
また「彼女」が現われる。あらわれるたびに僕はおなかの胃に穴が空くような気がする。
彼女と僕は宙に浮いているように、まっしろいような世界にいる。
新聞紙の右端に「彼女」の子供の名前を書き出した。登理有という名前だ。これじゃあ女の子か男の子かわからない。
まさか変な名前を彼女が名づけるとは思ってもいなかった。驚きもしないけど、すこし大丈夫か?とも思わせる。 正確な感じも読み方も覚えていないけど、登るという字は確かに書いていた。 父方の兄、僕の叔父の体の具合が悪いそうだ。
となると父の長男の「登」さんは大丈夫か?と思っていたときだった。
そしてそう、彼らの父で僕をかわいがってくれた鳥取の外科医の祖父は登喜男(漢字は不正確)という名前だった。
なぜ新聞紙に書いたのか、それともそこにすでにプリントしてある事実であるということを刻印したかったのか。
彼女はとにかく子供の世話に忙しそうだった、そして普段ひとりでいることに寂しさを感じないのにこの世界では感じてしまった。
場面はうつり、女性友達につれられ、またあの空間にいる。
いやその空間ははじめてくるようなところだが、 常に僕はこの建物の位置にいる。
左は開けた空間、湖、貯水池、もしくはグランド、もしくは背の低いビルたち、その右横に土でできた、4mくらいの道。その右にはビルが立ち並び、けっこう背が高い。
そのビルのひとつだ。 僕はなぜかこの空間によくいる。
友達に連れられたところは、パート勤務を紹介してもらうところ。IT系かフィルム系だ。
部屋はふたつあり、僕は面接のために奥に行く。 若い社長で、顔はすっとしている。どことなくサッカー選手のかまたのような顔をしていた。 凄くリアルで画面(視界)いっぱいに彼の顔がみえる。 アップになっても僕は気分をがいしないくらい、デジタルでできたようなにきび一つ無い顔だった。
みんなスタッフは壁を背にしてパソコンをいじっている、壁は阪急のEvent会場のように汚れてきたなかった。
アットホームな感じは安心させてくれるが、話をしててふとおもう。
「ダンサーとのプロジェクトも作ってなおかつ、僕は作品作りに時間を費やさなくてはいけない。こんなバイトなんてしてていいのだろうか?」
僕はとてつもない不安に襲われ、その場から逃げ出したかった。
時間とは何か、無駄な時間とは何か、 それこそ「今」を感じないで将来をただ不安におもってるだけなのではないか?
Happiness: 3
Reality: 7
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