水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

ファスティング(絶食)をしよう ⑩ 小2の断食の記憶 

子供たちだけが住んでる天国 

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「トムは真夜中の庭で」より

小学校のクラスの皆が来てくれたこともあった、少し元気になってからきてくれればいいものを、入院したてで苦しんでるときにやってきた。

 

その光景、いま蘇るけれど、ずいぶん不思議なものだ。先生もやってきたけど、僕を皆がドアを半分あけたところから覗いているだけなのだ。 みんなが心配そうに、もしくは動物園にいる珍しい動物を見るかのように、危険なウィルスにおかされた病人をみるかのように僕をじっとみつめていた。

 

恥ずかしいのと、うっとおしいのと、どうせくるならもっと近くに来ればいいのにと思うのと、入り乱れる気持ちで僕はどうしたらいいかわからなかった。恥ずかしがりやの僕だから、手もふらなかったのだろう。

 

無愛想な病人だ。

 

もしかしたら僕が歓迎しなかったから、みんなは愛想を尽かして帰ったのかもしれない。 南ヨーロッパ人のようにハグでもすればよかったか。

 

でも小学校二年生の僕にはそんなスキルを装備していなかった。

 

 

病院では勉強をしなくはいけない。でもどんなに頑張っても追いつくことは難しい。

 

小学校の新しい担任の先生は

「できる限りでいい」と言ってくれたけれど不安だった。

 

この頃から学校の恐怖、勉強すること、というか置いていかれることの恐怖がトラウマになったのかもしれない。

 

みんなは学校にいって必死に勉強してて、僕はただ病院で遊んでいるだけなのだ。

 

まさに天国のようだが、将来の不安がずっしりとのしかかる。

 

このまま乗り遅れたら、人生がすべて遅れて半人前になるのではないか?

 

大人が言った言葉ではなかったけれど。そんな心配があった。