DEAD ENDで腹痛に襲われる
小学校2年生から3年生に入学する。
けれど僕は、入学式に行くことはできなかった。人生が始まり、やっと意識がはっきりしてきたとき、ぼんやりとした世界がはっきりとしてきたときに、急に現実的な苦しみがやってきた。
小学校1年生のときの記憶は結構鮮明である。2年生の記録はほぼない。悪いことをしたことくらいだろうか。だけどクラスメートは僕が何をしたかは覚えていないだろう。
その体罰なのか何なのか。これもはっきりと記憶に無いが、ひどい腹痛に悩まされた。僕は鈍いのかもしれない。それとも我慢強いのかもしれない。
それはわからない。どちらともいえるだろう。
近所の町医者に何度も出向いたが、熱は下がらず、腹痛は続いた。
打ちたくない注射を幾たびに打たされた。
医者とはいったい何なのか。
そこに行けば治る。そんなものだろうか。
不安があれば、どんなことでも解決する。
昔のお寺や教会のようなものなのか?
悪いことをしたから、体罰が神から下された。だから医者に行くのだろうか? 体の具合が悪くなるのはほとんどの場合 「じぶんのせい」だと僕は思う。 健康管理がしっかりしていれば、どんな病気にもならない。
大げさに言えば永遠に生きられる。と僕は本気で信じている。
ともかく僕はその「お医者さん」のところへ何度も連れて行かれた。 でもそこが
DEAD END(行き止まり) なのだった。
英語では死と終わりを組み合わせた言葉で行き止まりを表現するのは面白い。
僕にとって医者はまさに Dead Endだった。
そこしか頼りがなく、そこが駄目なら死ぬしかない。
だけれど僕はもっと大きな、専門のお医者さんがたくさんいる「病院」というものを良く知らなかった。