水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

真実から目をそらすChatGPT

科学は哲学しない

Artwork by Satoshi Dáte

ロンドンに住んでいるといろいろな人と会える。毎日が刺激的だ。 新しい友達の女優のH.YさんがAirbnbで泊っているお宅へお邪魔した。 家を調べたらWarren streetの近くでUCLの真横だった。 

前にも聞いていたけれど、どんなところか忘れていた。 きっと学生寮だろうと決めつけていた。

 

ドアの前にたどり着くとどう考えても学生寮でない一軒家であった。

 

中に入ると、これまた僕がH.Yにしょうかいした、Ha(おなじHなのでHaにしましょう)というJR秋田駅で働いていて日本の社会が嫌でこちらにやってきた、野球選手でいまスターバックスではたらいている最近の友達が座っていた。

 

インド人(かとおもう)男性がキッチンから現れ、電話を受け取り下の階へ降りて行った。

 

オーナーさんがあらわれる。カリビアン、インド系、イギリス人のよう。 お金持ちの雰囲気を持っていらっしゃる。30代くらいで若々しい。

 

僕らの会話にも入ってきて、社会について語りスムーズに意見が交換できた。ドイツに彼がいるが、つまらない街に移住する気が全然ないそうだ。

 

好きなことをしたいと願っているが、彼と一緒になることも捨てられないようだ。

 

インド人の彼は哲学者だった。高校生の先生をしていたけれど、つかれていまはPHD(博士)の研究をしている。

興味深いのがアラブの14世紀?の哲学らしい。 ちょっと内容は忘れたけど。興味深いものだった。 

 

日本はよくしらないけれど、イギリスではPHDの研究をすると国からお金がもらえる。 だから仕事をしてるようなものである。

 

そして哲学について質問したりして、プラトンの読みやすい本を紹介してくれた。

 

Haが連れてきたイギリスに十代のときに移住した日本人男性Rもやってきた。 かれはGoogle(?)に働いていて、今話題のChatGPTの監査の仕事をしているらしい。政府からいわれて、問題がないかをチェックしてルールを作るようだ。

 

そこでみんなはChatGPTがあれば、あらゆることが可能になる。すべてがSpeedyになって快適になると話し始めた。

 

僕は

「Speedyになっていったい何の意味があるの?」

と聞くと

哲学者が

「それは哲学的な質問だね」僕に言う。

 

僕がいつも思うことをみんなに投げかけてみた

 

「科学者は哲学をしないことに大きな問題があると思う。新しい技術がいったいどんな意味を人にもたらすか深く考えていない。すべては資本主義に基づいて考えているだけで、人間性や環境を破壊するものばかり生み出している」

 

科学を否定するわけではないが、なにか科学が進歩して人間性や100年、1000年後の僕らに価値のあることはほとんどないと感じる。

 

そういった危険性もあるために彼はいま政府にいわれてエラーや問題をさがしているようだが、やはり彼も

 

「急速に変化をもたらす新技術は危険」

 

と信じているようだ。

 

もちろんすべてが悪いものではないと思うけれど、なぜみんなゆっくりと進まないのだろうか? 人間のエゴがそうさせるならそれについてもっと深く考えないのだろうか。

ぼくらはのスピードはどんどん速くなっている。

 

カール・ユングが会った、アメリカンインディアンがこう彼に言った。

「君たち白人はいったいなにをそんなに忙しくしているのだ? 僕らにはいったいなにをしているのかちっともわからない」

 

これは今の現代社会に言えることだと思う。スピリチュアルな世界に近い彼らにとって、現代人はただ意味もなくせかせかと無意味に忙しくしているだけである。

 

定年退職した資本主義の世界で生きた大人たちをみてみたらいい。彼らはいったいなんのために生きてきたかほとんどの人がわからないではないか? 人はなぜ人であり、自分のために行う使命とは何かをもっと深く考えるべきだ。

 

それ以外は殆ど目の前にある真実をみないための言い訳の作業でしかない。