水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

ナックルで殴られる/美術部回想③ – イギリス留学<準備編>

はじめて殴られて血が出たところを拝見する。

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下田先輩にジェラシーする、辻先輩はだんだんと変化していった。あまり部活にも来なくなる。 僕が高校生になって、先輩たちは受験に忙しくなる。 学年の上の先輩がもう入ってくるとは思えないので。僕は部長になる方がいいという話になった。

 

そこで儒教の教えのせいか、母親が竹刀で小さい頃しつけをされたせいなのか分からないけれど、年下が部長になることをどうしても辻先輩は許せないらしかった。

 

美術の先生方がミーティングにくることはほとんどなかったけれど、もめたので先生達も参加してもらった。

 

僕は別に部長になろうがなるまいがどうでも良かったけど、嫌な雰囲気になっていた。

 

部屋の教壇に立っていた、下田先輩に、辻先輩はイライラし、

 

教壇に上がり、

 

「下田、お前が部長になればいいんだよ!!」

 

と叫び、ポケットに入っていたナックルをつけ、押したら倒れそうなくらいヒョロヒョロな下田先輩の顔面を殴りつけた。

 

もちろん金属のナックルなので血が飛び散る。

 

不思議なことに普段倒れそうな下田先輩はダウンしなかったのである。

 

殴れた下田先輩は自分のキャラクターを貫き、

 

「おお、血だ!」

 

両手の手のひらを顔の前にして、見事なリアクションを取るのだった。

 

そしてもちろん先生たちは青ざめた。

 

「辻!!!」

と怒鳴り。

 

辻先輩はダッシュで教室から逃げ出した。

 

僕らはどうしたらいいかわからなかったが、先生達の後を追った

 

「OO先生!あっち!」

と一人の先生が言う。

 

コンクリートでできた寒々しい、 校舎を辻先輩と二人の大人の先生が走り回る。

 

僕らはただ傍観していた。

 

それから過去彼は学校に来なくなった。

 

 

後に発覚したのは

家からも追い出されたのだろうか、

校舎の端の方にある、僕も知らなかったもう一つの部室に寝泊まりしていたようだ。

 

僕らが見に行ったら先輩はいなかったが、窓の張り紙の隙間をみたら、布団と枕が置いてあった。

 

しばらくして会った時、金髪になってぐれていた。

 

弟は 不良だったようで、そこに仲間入りでもしたのだろうか。

 

弟は、ヤクザな方達の息子で漫画みたいな名前の竜三兄弟というのの手下だそうだ。

 

なんかよくわからない世界が、僕らの学校の周りに繰り広げられていた。