水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

お受験

何故幼稚園に受験があるのか。

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生まれた瞬間に僕らは鉛筆と消しゴムを持って受験戦争(そう戦争という言い方を使う)に挑まなければいけない。 わたしたちは資本主義という名の戦争に生まれた瞬間に赤紙をわたされるのである。

僕の母親が何回かエピソードを教えてくれたことがある。 母は僕に私立の小学校に行きたいか、公立に行きたいか聞いてきたが、生まれて3年くらいしかたってない人間に、そんなこときかれてもわかるわけがないのだ。

 

質問の内容は確かこうだった

公立小学校にいくなら> 

「近所の友達と仲良く過ごしたいか?でも中学校は試験があるから大変である」

私立小学校にいくなら>

「近所に友達はできないが、良い教育がうけられ、幼稚園から入園すれば大学まで勉強をそんなにしないので楽である。」

 

3歳児にこれを聞いたことを僕はなんとなく覚えている。 もしかしたら、彼女自身も決められないから、迫られて非常に嫌な気分をしたかもしれない。

 

私立の幼稚園入れば高校生終わりまで受験がない。 母親の勝手な不安でその不安を僕に背負わせた。 いつ受験したっていいじゃないか、なんだっていいんだ。 

 

なぜ僕を私立に進めたんだろうか? 果たして僕は母親を訴えなければいけないだろうか?

 

さて幼稚園の試験とはどんな事をするのだろうか?

 

30分程度子供たちを遊ばせて、どうやって遊んだかを見るのだ。 いろんな友達と遊んでどういう風にコミュニケーション取れるか、果たしてこの子は可能性があるのだろうか? 

 

そして僕はいったい何をしたのか。コミュニケーションが取れない僕は...というようなことを話したら、僕がシャイで人と喋れないのは男子校のせいでなくて、自分自身のせいであるようなことを今認めてしまうことになる。 いやこのシャイな性格は自分自身の性格もあるけれど、99%は学校のせいである。 と 思う。 その辺はとりあえず置いといて。 

 

さて30分から1時間ぐらい僕らを遊ばなきゃいけない。 なんとなく記憶あるのは僕はとにかく誰とも喋りたくなかった。 誰とも声を交わしたくなかった。 喋れるような力量を持ってない。 相手がもし女の子ならなおさらである。 馬鹿にされるんではないか? 男と遊んだら積み木を投げられるのではないか? 実際積み木を殴られた記憶がある... それは幼稚園に入ってからのことだった。 

 

僕は何をしたかというと読めもしないような本を読んでいたのだ。 だって、することがないのだから。 試験が終わった後に園長先生が僕に何をしていたかを聞いた。

 

「さとし君は何をやってたのかな?」と言ったら。

 

 僕は

 

「ご本」

 

と言った。本のことである。

 

そして園長先生は目を丸くして

 

「ご本んん?」

 

と耳を疑った。

本来なら友達と遊ばなきゃいけないのに本を読んでいたのだ。 友達と行っても友達のふりをして遊ぶのもいやだし、 僕の人生を台無しにするかもしれないような男性、女性が周りにいる中で、何故私が心を開いて話さなきゃいけないのか、ちっともわからなかった。

 

初対面で遊べと言うのも無理な話である。 なんなら筆記テストでもして欲しかった。

たぶんぐちゃぐちゃな絵を描いて追い出されたかと思うが。

 

うちの母親が園長先生の態度をみて「これはダメだ」と思ったらしい。 

 

がなぜか受かってしまった...

 

もしかしたら僕のこの頑固さを園長先生が挑戦したかったのかもしれない。 裏の裏の裏をかいたのか... 人生の重要な分かれ目である。 そのせいで僕の中学高校は男子校にいくことになったのだ。 やめたければやめれるが、中学の権威権力で親に反対はできないものである。 

 

そして僕は更なるシャイな内気な人間になっていくのだ。 

 

結局僕は誰を訴えたらいいかわからない。男子校たるものを作った誰かなのか... 

僕は6年間女性というものが存在することすら信じられなくなっていった。