美しい公園が血で染まる
ボストンで住んでいた家の前に美しい公園があった。
公園というよりか、庭園という感じだ。
ヨーロッパの神話に出てきそうな、
黄色い緑いっぱいにかこまれる小さな湖たち
その小さな湖たちは弧を描くシンプルで可愛いらしい橋によって影を落され
日々橋と会話をする
そんな公園の周りに細い歩き道がある。その道を夜になると灯りが照らす。
落ち着く綺麗な風景だけれど、その夜を照らす灯りは前になかった。明かりがついてる理由はバラバラ殺人事件があってからだそうだ。アメリカは危険だと聞いていたけれど、こんな間近に恐ろしい話を聞くと思わなかった。
公園で歌ってる時に声をかけた男も関係があったりして。と脳裏をかすめる。
ある日、フラフラと公園の周りは歩いていた時に、背の高い白人が英語で声かけてきた。
「Do you have a lighter?」 (ライターありますか)
と彼は自然に声をかけてきた。
そして僕は、
「No, I don’t smoke」 (タバコは吸わないんです)
と静かに答える。
すると彼は、
ジーンズのポケットからバレッタナイフを取り出した...
ということはなくて、
「日本人ですか?」
と日本語で話しかけてきた。
ぽっかぽっかのお日様中心の日である。殺人鬼があらわれるわけない。現れるかもしれないけど、攻撃はしてこないだろう。でも僕たちは半径100m以内には他の人間はいなそうなくらい誰もいなかった。
「日本人ですか?」
このフレーズをこれから何度聞くことになるか。日本語を喋れる人がどんどん増えている中で 日本人ですかというフレーズは蔓延している。もしかしたらアメリカ人ですか?中国人ですか?スペイン人ですか?という世界中で発せられる質問の数を抑えて Top 入りするに違いない。
インド人や中国人の人口は圧倒的に日本人よりも多いけど、相手が日本人であってほしいと思えば思うほど、もしくは日本語の人気が増えれば増えるほど、日本人ですかの問いかけが増えるのではなかろうか?
相手が何人であろうが関係ないのである。しかし最近は中国語を喋る人も多くなっているから、中国人ですかも増えるのではないだろうか? しかし僕は未だに日本語で中国人ですかと聞かれたことがない。 当たり前かもしれないけど。
中国人に中国人ですかと聞かれたことはあったような、ないような。でも大抵中国人や韓国人の場合僕が中国人か韓国人と完全に決めつけて話しかけるので(なぜかわかりませんが)、中国人ですか?韓国人ですか?という母国語での問いかけはなかったと思う。
というようなことを頭の中で考えていたかもしれない。
僕は殺人鬼のことを考えてたかもしれない。
僕は、「はいそうです」と言うか、「いいえそうではありません」ということで命の分かれ目となると思った。
そして僕は
「はいそうです」
と躊躇なしに言ってしまった。
彼はミュージシャンということで話がはずんだ。そして彼はヒロシのことを知ってると言っていたけど、これはすごく怪しいものだった。
そして僕は彼に誘われて彼のアパートに行くことに何故かなった。
続く>