水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

ファスティング(絶食)をしよう ⑧ 小2の断食の記憶

初めての入院 

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点滴たるものをぶすっとさされ。 僕は子供が6人集まる部屋に入れさせられた。

「安静にしていれば治るから、だけどこれから何も食べてはいけないよ」

と白い服を着た若い男の先生。

  

なにがなんだかわからなかった。

 

「食べなかったら死んでしまうのではないか?」

僕は恥ずかしがりでレストランで注文ができないくらいだったけど、先生に大丈夫かどうか問いかけたと思う。

 

(食べちゃ駄目って、どういうこと? これから死ななきゃいけないって事? みんなが淡々としゃべるから、僕が死んでいくことに興味も無いのかも)とふと思ったのだろう。

 

「点滴で栄養が送られている以上体にはなにも問題ないよ。」

と言われる。

 

今思ったけど、これって絶食療法ではないか…と思う。 点滴をうっているので絶食とは違うけど…

 

僕はそこで2,3ヶ月ほど入院した。 最初の数日間はつらかった。 個室がよかったが、値段も高いし、一人だとさびしいよと親に言われたからだ。

 

でも周りの子供たちはご飯を食べるし。

 

僕は結構な重症で苦しかった(このときはもしかしたらおなかが空きすぎて朦朧としてたのかも?)

 

横のおばさんたちが食べ物の話をずっとしているのが気になった。

 

入院したてだから、あまり偉そうにもしたくないし、看護婦さんを呼んだりもしたくなかった。

 

小学校2年生の僕は耐え切れず、看護婦を呼んで言った。

 

「となりがうるさいので静かにするようにいえませんか?」

 

このお願いは、理に叶っていたのだろうか?

僕は実際に苦しくて寝たかった。

 

「個室じゃないのに、贅沢言わないで」 みたいなことを冷たく言われたのを記憶している。

 

僕はひどく絶望した。

 

自分が我慢強くなったのも、人の痛みや苦しみを共感できるようになれたのも、今思えばこの入院生活にあったような気がする。

 

僕の病気は原因不明だと言われていたので、死ぬのか?とか本気で思っていた。

 

でも周りの子供たちはもっと深刻だった。腎臓病や肝臓病。

 

一番仲良かった子は肝臓病だった。 薬のせいでひどく太っていた。入院前の写真をみたら痩せていて別人だった。

 

「あの子はいずれ死んでしまうのよ」と母が言ってたのを記憶している。

 

そうなのか、いまいっしょに遊んでる彼はいつか死んでしまうのか。

 

と不思議な感じがした。

 

断食の話と少しずれるかもしれないけれど、ここで入院していた記憶が蘇ったので、少し延長して書かせてもらいたい。 

 

続く