水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

トレントになってはいけない

植物人間になるろうか? 

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ニューヨークにそろそろ行かないといけない。

1週間くらいニューヨークにいようかと思っていたけど、ボストンを離れたくない。

僕は日本を出る前に帰りの飛行機をわざとニューヨークの空港にした。そうしたら嫌でもニューヨークに行かなくてはいけないから。

そしてついに、ニューヨークに行くことを決める。残念なことにヒロシさんには友達がニューヨークにはいなかった。

 

一人になるんだなと思った。

 

ヒロシさんにお願いして、ホステルの予約と場所を聞いてもらうことにした。

 

アドレスを控える。

 

パーソンズ大学とニューヨークシティ大学。何件かチェックして。見学に行くことにした。もちろんアポなんか取ってないし何も考えていなかった。

 

少しニューヨークに行けることでわくわくした。 憧れのミュージシャンも活動していた場所。20世紀の一世を風靡した画家の人たちも、アンディウォーホルもみんなニューヨークにいた。

 

僕はなぜだかひねくれていて、フラットメイトに出ていことを伝えなかった。

 

なんでそうしたかったのかわからない。

 

いつまでもこのボストンにいることもできるけど。いつまでいたらいいのだろう、もう一か月、もう1年、もう10年?

 

さすがに10年もソファーベッドにいたらみんな怒るだろう

 

10年もいたら、僕の荷物は増え続け、ソファーベッドの周りには物だらけになる、

僕のベッドをもしかしたらロフトになり、その下に勉強机なんかも置けるかもしれない。

 

あまりにも同じ場所に居すぎて僕の足には文字通り根が生えてしまい。

 

想像上の生き物トレントみたいになってしまうかもしれない。

 

頭に葉っぱができて、一体何のために留学をしにきたかわからなくなるかもしれない。

 

でもそんな人生もあってもいいんじゃないだろうか?何かを成し遂げたいために留学した。

 

今回は留学の見学に来ただけだ。

アメリカとイギリスどちらがいいだろう?

アメリカはやっぱり僕に合わない。ということをしっかりとバツマークをつけるために来た。

 

でも結局は恐怖に陥って夢をあきらめた。

 

もうここから動きたくない、不安でいっぱいだ、心地がいい、みんないい人。

もうこれでいいじゃないか?

 

時間はストップさせよう

 

もう疲れた

 

十分頑張った

 

よくやった

 

楽しいこともあったし

 

まあまあ幸せだ

 

そうこんなふうに自分の思考でマインドコントロールする。

 

それは僕たちの得意技だ。

 

みんなトレントに。

 

生きることをやめるのだ。

 

いや生きてはいるけどまさに植物人間。

 

僕たちは歩くことができるけど

 

魂と精神を動かす足を止めたので

 

そう魂が動かなければ精神もストップする。

 

恐怖が静止に宿り精神に宿る

 

魂の動きをストップする

 

だから何も感じることができない。

 

そんな風になりたくない。

 

NYへいつ行くかは決めなければいけない。

 

いつここが終わりになるのか、ちゃんと決めていなかったから。全ての事をやり遂げたのか何なのか、なかなか決められなかった。

 

ルームメイトではエヴァが一番ぼくと仲良かった気がする。

 

彼女は本当に僕によくしてくれた、英語よく直してくれた。

 

ひろしさんは

「この子たちのめちゃくちゃな英語を覚えたら、変な英語になっちゃうよな」

みたいなことを言われたが、僕にとっては完璧な英語だと思った。

 

そういえばこの家の近くには野球のスタジアムがあるボストンのチームだ。

歓声がときどき聞こえるが、それがどこから来てるのか全然わからない。

 

結局スタジアムに行ったこともなければ、スタジアムの外側も見ることができなった。

 

見えないスタジアム。目と鼻の先にあるのに異次元にあるスタジアム。 面白いではないか。