水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

サングラスをかけたタイのモデルが渋谷に現れる

代々木公園のベンチ 

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公園なんてぼくは家の近くの公園しかいったことがない。

公園を一人で歩くことなんてない。東京で育ったくせに東京の公園の名前すらよく知らない。

都心によくでかける外国人の方が詳しい。のだろうか。

 

初めて語学交流をする、タイの女性と渋谷で待ち合わせる。

サングラスをかけた彼女が現れる。

モデルが現れたかと思った。

 

わ、かっこいい。と瞬間に思った。

 

彼女は綺麗な歯並びをしていて、髪が長く、すらっと背が高く、目が大きく、鼻が低かった。色はとても黒く、これがタイ人かな。と勝手な印象を与えてくれた。

 

タイが何の国かもわからない僕は兎に角英語が喋れればカンボジア人だろうが、ボスニア人だろうが、ナイジェリア人だろうが構わなかった。

 

とにかく英語を!喋りたかった。

 

ボストンでせっかく上達した英語を衰えさせたくない理由もあった。

 

こういった何かしなくてはいけない事。が僕の生きる原動力になっていた。留学を控えていて、将来が不安でしょうがなかったけどこういった英語の勉強といったしなくてはいけない事、そしてそれを今してる事が今の自分と輝かしい未来の橋になってくれてるように感じた。

  

果たして彼女は美女なのか美女でないのか。 どうでもいいが、女性になれない僕はこの自問の回答に困った。 僕はタイでは美人であろう。と思った。

 

スレンダーで背が高いので。 なんか僕と不釣り合いで申し訳なく思った。

僕の背はより一層低く見えただろう。

 

だけど僕はそんな肌が褐色でモデルな彼女と都心を歩いて優越感に浸っていた。

 

僕たちは公園で話すことにした。

 

日本語の教科書を開いて、日本語を教えてあげる。といっても教え方なんかその時知らなかったから少し戸惑った。 結局僕の方が日本語で「これはどういう意味か?」「なぜこの文法をこの時使うのか?」など宿題をしてこなくてはいけない羽目になった。

 

楽しい会話をしているときに、カラスが彼女の近くを跳んでいく。

 

「カラスこわーい」

と流暢な日本語で語りながら、目を上にあげ、頭を押さえて体を低くする。

 

とても可愛らしかった。

 

日本語が上手じゃないのにこういう言葉はすぐ出るのだなと不思議に思った。