時代遅れな伝統
ボストンでは何度かヒロシさんの友達のアメリカ人女性と日本人男性の夫婦
に会った。日本人の男性はアメリカ人2世か3世だった。
面白いことに彼はヒロシさんに似ているのである。この前会ったロードアイランドの友人もそう。この友人もまたそうである、まるで兄弟のような気がする。アメリカに来る日本人がこんな感じの人がくるのか、それとも日本人は皆同じ雰囲気で顔なのか。よくわからないが。とにかくみんなに似てた。
彼の奥さんは白人のアメリカ人だ。年を重ねているようだったので子供はいなそうだった。
ヒロシさんとそのカップルと中華レストランに行った時のことを思い出す。
男たちはとにかく日本語でしゃべるのだ。女性は日本語を喋れそうになかった。
大人達がいたので僕は何も言えなかったけど、彼女がだまってじっと聞いてるのが可愛そうに思えた。
彼女は黙っている。イギリス留学の初めでも同じような光景を見たことがある。
話の内容がわからないのに、奥さんは黙って話を聞いている。彼女は箸の使い方わからないようで苦戦していた。ヌードルだったので大変だ。不格好になってスープをすすっていた。
見ていてかわいそうに思った。
男2人はお構いなく話している
彼女は必死になって食べてるのを横で見てて、スプーンを持ってきましょうか? と聞いた。
旦那さんは何故彼女の方に目を向けないのかよくわからない。
彼女は大丈夫だからというような仕草を僕に見せた。
彼らの話も僕はついていけず、僕は彼女とすこし英語でしゃべった。
「とても英語が上手ね」
とお世辞でも言われて嬉しかった。
海外での日本人のヨーロッパ人の奥さんはみんなこうなのだろうか?こういう光景を何度も見る。夫の言うことを聞く女性。
時代を逆行したような奥さんのイメージ。
僕はこの時まで女性というものをちゃんと理解していなかった。
ただ誰かとお付き合いをしたり、こういう場面になった時はできるだけ気を使わなければいけないなということを学んだ。
彼女の温かい笑顔を今でも忘れない。
苦しいけど耐えている、それでも笑顔は自然な笑顔。