水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

透明な壁さえもない関係

Emailのやりとりが英語の上達に

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Artwork by Satoshi Dáte

 

まるで2日にわけたかの様に僕は沢山描いた。 もしかしたら、2日にわけたかもしれない。 水彩画を何枚か、そして完成しなかった油絵を描いた。

Mi-jaは僕の英語の勉強にとても役立ったのだ。

 

その後僕らは連絡を取りあい。英語でEmailをかわした。僕みたいに下手な英語でも彼女は気にせず。丁寧にメールを返してくれた。

 

必死になってぼくは英語で返事をして、僕の英語はすごく上手になった。

 

一度僕はイギリス留学でスコットランドにいった。エジンバラの丘に登り、携帯電話から高額の国際電話を彼女にかけた。

 

かかるかどうかわからない固定電話にかける緊張といったらない。

 

あたまのおかしな、日本人がアメリカにイギリスからかけるのだ。 最近は固定電話というものがないが、女の人に固定電話に挑戦することは何とも不思議な緊張感がある。

 

ツー、ツーとしかも別の国だとこの音さえ違う。

 

僕がどんな騒がしいところにいても、向うは静かなのだ。静寂の中に、暗闇の中に、うごめく女性の体は、やっかいな小柄の男性のために受話器に向かうのだ。

 

そして受話器をとって、面倒なような、嬉しいような、病気にかかったような声で

「Hello」というのだ。

 

そのHelloは相手がだれだかわからない。前の彼氏かもしれないし、明日の永遠の恋人かもしれない、ストーカーかもしれないし、イギリスに住み始めた狂った日本人に似た留学生かもしれない。

 

そんな想いのなかに、僕の感情と彼女の感情をぶつけなくてはいけないのだ。

 

静かで力強い風がふく丘の頂上からかけた僕の声は彼女に通じた。

 

「いまどうしてるの?」

「イギリス行きたいなぁ」

「いまは西海岸に住んでる」

 

とか話した。

 

なぜか彼女とはすんなりと話せる。

 

なんというか、血が繋がっているひとのような感覚だ。

 

隔たりがなく、透明な壁すら感じない。

 

残念なことに彼女がいまどこにいるかわからない。彼女の本名を知っているが見つけることはできなかった。

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Artwork by Satoshi Dáte