海へ行く
僕は電車のマップを見る。
今日は誰も家にいないし、何も予定がない。
僕は海に行きたくなった。 大西洋の海。
右上に伸びる一つの電車を見て、僕はそれに乗りたくてたまらなくなった。
とにかくどれだけ遠くまで行けるか考えた。
荷物をしょって、何も考えずに僕はその番号の電車に乗った。
何もできなくて、なにも口に入らなくて、のどがカラカラで、飢えて、悪夢にうなされて、夜はぶるぶる震えながら布団の中にいた自分が嘘のようだ。
海まで言っても、飢えることはない。
そう思いながら、僕は何も考えずに電車に揺られる。
ボストンの中心部は地下鉄ばかりだ。 僕はその地下鉄に乗り、海までたどり着く。
いつまにか電車は地下鉄ではなくなり、外の景色が見えていた。右側には綺麗な海が広がる。
僕は適当な駅で降りて、砂浜を歩いた。 家族が僕の前を過ぎ去る。
特にこれといったものはなく、白い建物が海の近くにあったのを記憶している。
駅の名前にM がついたと思った。後で聴いた話だが、写真を見せたら、有名な映画の撮影現場だったらしい。そして、このMが付く電車の駅名がタイトルだった。
波の音がボストンでの経験を静かなものに変えてくれた。
街の中にずっといたから自然の空気に触れられて嬉しかった。
右側を見ると都市部が見える。
本当にこの国は大きいんだなと感じた。