水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

ポーランドのおばあちゃんに好かれる

心を落ち着かせる夜のリビング 

f:id:SatoshiDate:20191220000628j:plain

イギリスだって先進国だけど、砂漠の真ん中に落とされた気分だ。友達もいなければ言語も通じない。いや砂漠の方がましかもしれない。だって一人になれるのだから。オアシスを探しに行けばいい。のらラクダをみつければいい。ピラミッドをみつければいい。

 

 

ロンドンで2番目に住んだ家はホストファミリーの家。旦那さんがスリランカ系、奥さんがPoland系だった。時々奥さんのおかあさんが家に訪ねに来た。

 

良くしゃべる人で強いポーランドなまりでときどき聞き取れなかった。

 

僕がポーランドのアートが大好きだという話をしたら、奥さんと同様僕の好きなアーティストの話をしても知らないようだった。 でも奥さんよりもポーランドと関係が深いためか、反応が良かった。

 

ときどき彼女はホストの主人と奥さんが夜出かけるとき、子供の面倒を見ていた。

 

リビングに行くことは禁止され、テレビを見る事も禁止されていたから、彼女が来たときだけ僕は1階のリビングでゆっくりできた。

 

テレビを英語の勉強のためにみたかったけど、それができず、もどかしかった。

 

「イギリスのホストファミリーはアメリカのホストファミリーと違うよ」

 

と聞いていたけど全くそのとおりだった。

 

部屋をただ与えられ、食事を与えられるだけ。

 

なぜか草むしりの手伝い、子供の面倒を見たことが何度かあった...

 

ホストと仲の良い関係ならわかる。けれどなにか利用されている感が否めなかった...

 

そんなわけで、ホストがいないとき、小さい子供とおばあちゃんだけのときはこころがゆったりした。家じゅうどこでも使えるというわけではないけれど。リビングでゆったりできるのが嬉しかった。

 

ポーランドの人は戦争の話が好きだ。

 

話し始めるときに、「Most probably…」といういい方を彼女はいつもしていた。

 

何を言っているのか殆どわからなかったけど、丁寧に聞いてあげていた。

 

ある夜彼女がとても眠そうにしていると

「わたしはいいから上に上がって寝なさい」

と言われたけれど、彼女一人にして上に上がるのは気がひけた。

 

どうやら、おばあちゃんに気にいられたようで、主人がある日

「うち義母が君を探していたよ、あのジェントルマンはどこへいったってね」

 

とあんまり気にいられていないと思ったので意外だった。