水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

神の声が聞こえる

猫の強さがいなくなって

f:id:SatoshiDate:20220403174749j:plain

Photographed by Satoshi Dáte

Cat powerがいつのまにかステージからいなくなった。

約2-30分でコンサートが終わっていた。へたしたら前座のバンドよりもはやくにライブは終わった。

アーディエンスの拍手などはあったが殆どの人は「なんだかな」という感じがした。

こんなやりかたでfanが増えるのだろうか…

 

僕は振り向いた。

早くにLiveが終わったことが幸いだった。 なぜなら後ろからとてつもないエネルギーを感じた、あの子がきっといるとおもった。

 

僕はかっこつける暇もなく、今まで記憶にないほどのはやさで後ろを振り向いただろう。

 

はたして

 

彼女は運命の人なのか? それとも彼女は神の化身なのか。

 

不気味な、不思議なイメージを彼女は確かに持っていた。

 

この瞬間を忘れられない。

 

ぼくは彼女を探す事はできなかった。

後ろを振り向いた瞬間、そこにいた彼女の空間だけぽっかりと空いていた。まるで彼女が透明人間になって、誰もその小さな聖域に入り込めないようだった。

 

「恋をしたような」

「嘘のような」

「やっとのことですてきな女性をみつけたような」

「子供が母親をみつけたような」

 

そんな彼女がどこかにいってしまった。

 

僕は不安と安心を同時に感じた。

 

その瞬間僕は摩訶不思議な神の声のような言葉があたまに浮かぶ

 

「彼女とはまた会える」

 

わけのわからない確信が僕にはあった。

 

否定的な、理性的な仮面なもう一人の僕は

 

「なにを馬鹿なことを言ってるんだ、こんなひろいロンドンのなかで会えるわけないだろう」

 

だけどその言葉を簡単に退ける真実がそこにはあった。

 

僕は彼女がいなくなった空間に入り込む。

 

まわりの観客はバーにいったり、会場を後にした。 コンサート後はみんなざわざわする。そして音楽がスピーカーから鳴り始める。

 

僕は呆然としていた。

 

コンサート前に会った女の子たちの事なんて気にもしてなかった。