水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

ウクライナでロシア兵に拘束されました。

僕の乗っていた自家用くらいの飛行機が不時着しました。

Artwork by Satoshi Dáte


運が悪かったのか、それとも意図していたのか。どうやら北欧、東欧の地でおりたようです。

 

けが人はなく、皆無事でした。人数は5、6人ほど。

 

 

ひらけた砂浜のような場所で、大きな運河が2つ、その二つの運河の元となる幅がわからないくらいの大きな運河が一つ。 僕らはその分岐点あたりにいた。

 

なんでそんな大きな運河が把握できたかというと、空からそれが見えたからだ。周りには民家もなさそうで林と言うか茂みがぽつぽつとみえる。砂漠の中心にいる様だった。

 

しばらく歩くと何件か民家がある。辺りは暗くて、どこへいったかわからないけど僕は不安ではなかった。 親切な家族に会い、そこで僕らは休むことにした。

 

どうやら場所はウクライナだった。

 

彼らの家は一軒屋のようで一軒屋でなく、玄関から入ると灰色のコンクリートでできた2mほどの幅の緩やかな坂が現われ、左手は窓のない壁、右手に2,3ドアがありそれがアパートの部屋のようだった。奥の壁には小さくも大きくもない曇りガラスの窓があった気がする。

 

壁や天井の色は暖色系で鈍い黄色だったようにも思える。

 

彼らはどのようにして国を出るか教えてくれた。 とってもへたっぴな絵を描いてくれる。

ウヌだかウームだか変わった名前の運河を紙の右半分に描き、名前はカタカナで書いてくれる。 どうやら歩くしかなさそうだ。

 

こんな地図で本当に国を出れるのだろうか? 不安ではあったけど、なぜか大丈夫な気もしていた。早いところここを脱出したいという想いだった。

 

Dartmoorに最近旅をしたときに使わせてもらった友達のCanonのカメラで写真を撮る。美しい写真が撮れたので(部屋の外の景色を撮った記憶がある)僕は旅の途中にこのカメラを借りたかった。 後でカメラを送るからと本気で僕は言おうとした。

 

 

相手が親切だから、僕はそれに付け込んでいるようだった。

 

僕らが楽しく話をしているときに急にノックが聞こえる。

 

「トン・トン・トン・トン」

 

とそれは穏やかそうに聞こえる。こんな遅くに誰だろう?

 

隣の家の人は僕ら日本人がここにいることを知っている。

もしかしたらこの家の人が通報したのかもしれない。

 

でも僕らはなにも悪い事をしていない。 ただ戦争中(?)のウクライナいにいるだけだ。

ロシア兵にでくわしても、ロシア人にでくわしても、ロシア語でHelloを言えばいいだけだ。

 

それを考えたらロシアの敵とはだれなのだろうか? ウクライナ人なのだろうか?日本人なのだろうか?

 

不法でウクライナにいる僕らなのだろうか?

 

主人が対応をしてくれた。

 

驚くことに、どうやらロシア兵のようだ。

 

「ここに、ここにいるべきない人はいますか?」

という問いをした。

 

主人は

「いません」

と答える。 

外国人はいるか?という意味の問いであったのだろう。

 

僕らのメンバーの一人が、誰が訪ねて来たのかを見たいために、上に見えあげるような玄関横が見える窓のような空間を大きく開けてしまった。 5、6人ほどの団体が外に向うのが見える。 なぜかそのなかに日本人の知り合いも含まれて、おかっぱのような髪の女の子が、見なくなるくらいのところで、とまり、僕らの方に首をだした。 

 

それはちょっとした恐怖でもあったが、なるべくしてなることだと僕は心の中で認める。

 

何も起きないと思ったら、やっぱり起きた。

 

空に暗い色のヘリコプターが何台も列になって飛んでくる。

次から次へと飛んでくる。

 

全部で20台もあろうかと思ったときに2mくらいの直系のHexagon(六角形)円盤にロシア兵っぽい男女(80%男の割合)が乗って僕らをさらいに舞い降りてくる。

 

天井はすでになく、壁で覆われてはいるけれど、僕らは大きな空間にいる。

 

友達の一人は、柔道の技を使って女性兵士(?)をいとも簡単に投げていた。 

僕は

「意外とこういうところで武道は使えるかもしれない」と思ったけれど僕はすでに大男の片腕の中に抱えられてしまっていた。

 

僕は宙をまい、彼らに身を任せるしかない。 降伏、Surrenderしたことで、気が楽になったけれど、心の中で小さな不安も灯っていた。

 

彼らは思ったよりも僕らに良い待遇をしてくれそうだった。

なにも悪いことをしていないのに、なぜ拘束されなくてはいけないのか。僕にはわからなかった。 

 

それよりも、一度嘘をついた親切な家族の事が心配だった。

 

場所はかわり、僕はカフェにいる。床は張り詰めたレンガのような模様で僕の丸いテーブルは丸かった。Y.Sを僕は待っている。彼女は何度か予定をキャンセルした事があるので、たぶん来ないかなとぼくは内心感じていた。

 

あまーいドリンクをたのみ、ちょっとしたサラダのような軽食を頼んでいた。

 

ひとりでカフェにいたり、食事に行く事は殆どない。でもぼくは小説のなかにいる人間のように、なにも不安もかんじず、その空気を楽しんでいた。

 

突然テーブルが揺らぎはじめ、気づいたら、床にギャップがたくさんみえてきた。中央がへこみはじめるが、誰も床が落ちそうだという僕の主張に気づかず、認めなかった。

 

いつの間にか僕は下に降りていて。高さが2m以上のところから落ちたら危険だと主張したけれどだれも僕のいう事をまともに聞いてくれない。6人くらいそこにいた人は下の階に平然と立っている。すこしくらがりで、吹き抜けになった白い壁の上のカフェが不思議にみえた。

 

マネージャーは

 

「新しいことをためしかったんだ、すっごく薄い床でどうなるかってね。」

とっても危険な発想だ。

 

僕は光りがみえる方に歩き、イギリスの半地下にありそうな頑丈な階段から外に出る。

 

ひろびろとした、空間にでて、前には中世のヨーロッパにあるような、中東にあるような岩か土でできたまったいらな壁のような城の様な建物がそびえる。

 

それ自体が巨大な橋みたいな場所に僕は立ち、数人がそこにとどまり、また行き来する。

 

地面は土で赤茶色だったのが印象的だ。

 

 

Happiness 4

Reality 7

Keyword:不安、安心、降伏、円盤、広い空間、中東、赤茶色の土

ウクライナでロシア兵に拘束されました。

僕の乗っていた自家用くらいの飛行機が不時着しました。

Artwork by Satoshi Dáte


運が悪かったのか、それとも意図していたのか。どうやら北欧、東欧の地でおりたようです。

 

けが人はなく、皆無事でした。人数は5、6人ほど。

 

 

ひらけた砂浜のような場所で、大きな運河が2つ、その二つの運河の元となる幅がわからないくらいの大きな運河が一つ。 僕らはその分岐点あたりにいた。

 

なんでそんな大きな運河が把握できたかというと、空からそれが見えたからだ。周りには民家もなさそうで林と言うか茂みがぽつぽつとみえる。砂漠の中心にいる様だった。

 

しばらく歩くと何件か民家がある。辺りは暗くて、どこへいったかわからないけど僕は不安ではなかった。 親切な家族に会い、そこで僕らは休むことにした。

 

どうやら場所はウクライナだった。

 

彼らの家は一軒屋のようで一軒屋でなく、玄関から入ると灰色のコンクリートでできた2mほどの幅の緩やかな坂が現われ、左手は窓のない壁、右手に2,3ドアがありそれがアパートの部屋のようだった。奥の壁には小さくも大きくもない曇りガラスの窓があった気がする。

 

壁や天井の色は暖色系で鈍い黄色だったようにも思える。

 

彼らはどのようにして国を出るか教えてくれた。 とってもへたっぴな絵を描いてくれる。

ウヌだかウームだか変わった名前の運河を紙の右半分に描き、名前はカタカナで書いてくれる。 どうやら歩くしかなさそうだ。

 

こんな地図で本当に国を出れるのだろうか? 不安ではあったけど、なぜか大丈夫な気もしていた。早いところここを脱出したいという想いだった。

 

Dartmoorに最近旅をしたときに使わせてもらった友達のCanonのカメラで写真を撮る。美しい写真が撮れたので(部屋の外の景色を撮った記憶がある)僕は旅の途中にこのカメラを借りたかった。 後でカメラを送るからと本気で僕は言おうとした。

 

 

相手が親切だから、僕はそれに付け込んでいるようだった。

 

僕らが楽しく話をしているときに急にノックが聞こえる。

 

「トン・トン・トン・トン」

 

とそれは穏やかそうに聞こえる。こんな遅くに誰だろう?

 

隣の家の人は僕ら日本人がここにいることを知っている。

もしかしたらこの家の人が通報したのかもしれない。

 

でも僕らはなにも悪い事をしていない。 ただ戦争中(?)のウクライナいにいるだけだ。

ロシア兵にでくわしても、ロシア人にでくわしても、ロシア語でHelloを言えばいいだけだ。

 

それを考えたらロシアの敵とはだれなのだろうか? ウクライナ人なのだろうか?日本人なのだろうか?

 

不法でウクライナにいる僕らなのだろうか?

 

主人が対応をしてくれた。

 

驚くことに、どうやらロシア兵のようだ。

 

「ここに、ここにいるべきない人はいますか?」

という問いをした。

 

主人は

「いません」

と答える。 

外国人はいるか?という意味の問いであったのだろう。

 

僕らのメンバーの一人が、誰が訪ねて来たのかを見たいために、上に見えあげるような玄関横が見える窓のような空間を大きく開けてしまった。 5、6人ほどの団体が外に向うのが見える。 なぜかそのなかに日本人の知り合いも含まれて、おかっぱのような髪の女の子が、見なくなるくらいのところで、とまり、僕らの方に首をだした。 

 

それはちょっとした恐怖でもあったが、なるべくしてなることだと僕は心の中で認める。

 

何も起きないと思ったら、やっぱり起きた。

 

空に暗い色のヘリコプターが何台も列になって飛んでくる。

次から次へと飛んでくる。

 

全部で20台もあろうかと思ったときに2mくらいの直系のHexagon(六角形)円盤にロシア兵っぽい男女(80%男の割合)が乗って僕らをさらいに舞い降りてくる。

 

天井はすでになく、壁で覆われてはいるけれど、僕らは大きな空間にいる。

 

友達の一人は、柔道の技を使って女性兵士(?)をいとも簡単に投げていた。 

僕は

「意外とこういうところで武道は使えるかもしれない」と思ったけれど僕はすでに大男の片腕の中に抱えられてしまっていた。

 

僕は宙をまい、彼らに身を任せるしかない。 降伏、Surrenderしたことで、気が楽になったけれど、心の中で小さな不安も灯っていた。

 

彼らは思ったよりも僕らに良い待遇をしてくれそうだった。

なにも悪いことをしていないのに、なぜ拘束されなくてはいけないのか。僕にはわからなかった。 

 

それよりも、一度嘘をついた親切な家族の事が心配だった。

 

場所はかわり、僕はカフェにいる。床は張り詰めたレンガのような模様で僕の丸いテーブルは丸かった。Y.Sを僕は待っている。彼女は何度か予定をキャンセルした事があるので、たぶん来ないかなとぼくは内心感じていた。

 

あまーいドリンクをたのみ、ちょっとしたサラダのような軽食を頼んでいた。

 

ひとりでカフェにいたり、食事に行く事は殆どない。でもぼくは小説のなかにいる人間のように、なにも不安もかんじず、その空気を楽しんでいた。

 

突然テーブルが揺らぎはじめ、気づいたら、床にギャップがたくさんみえてきた。中央がへこみはじめるが、誰も床が落ちそうだという僕の主張に気づかず、認めなかった。

 

いつの間にか僕は下に降りていて。高さが2m以上のところから落ちたら危険だと主張したけれどだれも僕のいう事をまともに聞いてくれない。6人くらいそこにいた人は下の階に平然と立っている。すこしくらがりで、吹き抜けになった白い壁の上のカフェが不思議にみえた。

 

マネージャーは

 

「新しいことをためしかったんだ、すっごく薄い床でどうなるかってね。」

とっても危険な発想だ。

 

僕は光りがみえる方に歩き、イギリスの半地下にありそうな頑丈な階段から外に出る。

 

ひろびろとした、空間にでて、前には中世のヨーロッパにあるような、中東にあるような岩か土でできたまったいらな壁のような城の様な建物がそびえる。

 

それ自体が巨大な橋みたいな場所に僕は立ち、数人がそこにとどまり、また行き来する。

 

地面は土で赤茶色だったのが印象的だ。

 

 

Happiness 4

Reality 7

Keyword:不安、安心、降伏、円盤、広い空間、中東、赤茶色の土

ゲイのみがファッションデザイナーになれる

ゲイとストレートの喧嘩

Photographed by Satoshi Dáte

ヨウタのうちに時々僕は遊びに行った。ファッションデザイナーになる同じ志をしている彼とは話が合った。彼はものしずかで、一緒にいて気が楽だった。 

僕が「ゲイ」なのではないか?という考えは一度も彼と一緒にいてよぎらなかった。

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人は自分が気にするほどあなたのことを見ていない。

私の鼻はまっすぐである 

我王 by Osamu Tezuka 手塚治虫

「傷は残らなかったな」

 

チョーが本当に何でもないかのように、僕の手術のあとを見て、そう言ってくれた。

 

でも僕の顔にできた傷は結果残った。

 

僕は前に顔にできた傷も気にしていた。

 

体に「傷」ができたことで、僕は自分の自己嫌悪感、ナルシスト感がなくなった。

RadioheadのThom Yorkeもそうであったように、自己嫌悪とナルシストは紙一重なのだ。

 

肉体のことばかり気にするから僕らは自信をもてない。 内側からこみ上げてくる美を信じられない。

 

傷ができたことをやっと気にしなくなったと思ったのに、また気になりだした。そのときのトラウマがまたやってきたのかも知れない。

 

傷ができたことに僕は、苦しんだ。

 

Surface Surgery 形成外科? たるところにもどり、ある医者に会う。

 

彼の言葉は未だに記憶に残っている。

 

「僕がこの傷を綺麗にする事はできる、でもそんなことをする必要があるかな?」

 

そして彼は僕をじっと見つめる。 医者ではないように感じた。

 

「僕の鼻をみなさい」

 

と穏やかな男性外科医は言う。

 

なにを言いたいのか僕はわからない。

 

古い病院で、窓の光りが彼の後ろから照らされて、余計に彼が普通の人間でないように感じる。

 

「僕の鼻はまっすぐかな?」

 

と僕に自信を持って問う。

 

暫く僕はちゅうちょして、鼻をよくみてみたけどまっすぐだった。

 

「まっすぐですが?」

 

と僕が答えると。

 

“No, it isn’t straight”

「いや、まっすぐじゃないよ」

 

と落ち着いて答える。

「わかるかい、人は他人の事なんてそんなに気にしてないんだよ」

 

と言ってくれた。

 

後に僕が日本に帰国したとき、やはり傷が気になって日本の整形外科に行った。

僕はイギリスのお医者さんが、治せるけどする必要がないと言われて、納得したくせに、「日本だったら技術がいいし、きっと綺麗に直してくれるだろう」と勝手に信じていたのだ。

 

僕はそこであった日本の医者には

 

「そのお医者さんがどれだけ自信があるのかしらないけれど、傷っていうものは、傷でしかない。君の傷に点数をつけるなら99点だ。」

 

と軽くあしらわれた様だ。 普通に考えてみればそうである。傷というものは傷ができるときに処理しなければそのまま残るのだろう。

 

車の傷ではないし。

 

いや今の技術では綺麗にする事はできるのかもしれない。でも僕はそれを調べようとも思わない。 なぜならそんなこと何も気にしなくなったからだ。 

 

イギリスで会ったお医者さんの言葉は

 

深く僕のこころに突き刺さった。

 

今になっていろいろなことが自分で勝手に悪いことを作り出していることをわかってきたけれど。 この頃はほんの少ししか感じていなかった。

 

誰しもがいう言葉、みんなも「そうだよね」という言葉や考え。沢山あるけれど、

 

その言葉の意味を経験しなければ人は理解しないのだと思う。

 

顔の形がどうだとか、傷がどうとか、みんなと違うことで自分は不安になる。体重だって、腰周りだって、二の腕だって、一重だって、唇だって。

 

僕たちは自分の道を歩みながら、体も変化していく。

その変化を否定する事はできない。

 

それを変えたところで内側の「心」は変えることはできない。

 

削ったようでも、結局はキグルミを着ているようなものだ。

 

肉体の変化や、肉体の違いを感謝できるようになれば

 

きっと僕たちの内面と関係する「体の意味」というものを理解することができるだろう。

ホテルの彼女

また「彼女」が現われた。

Artwork by Satoshi Dáte

グレーな空。空虚感を感じるどこか。僕はあきらかに親近感がない場所にいる。

期待と裏切りとちょっとな苦しみと、恋しさがある夢。

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どこいってもいじめられるさとし

多くの日本人はどこいっても日本にいると思っている

IT room - Photographed by Satoshi Dáte

語学学校の話をしよう。

この時期は僕は毎日語学学校に通っていた。

朝から夕方までだったから、かなりハードである。

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