水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

地と血

アメリカから出発15時間前 



ニューヨーク、マンハッタンの話に戻る。

僕は30代半ばのニューヨークの美大入学を目指す、日本人女性にばったり会い、仲良くなった。

 

僕は彼女と写真を撮った。それまで日本人女性とこんなに、気持ちがよく意気投合することはなかなかなかった。

 

年齢は違っても海外に住みたいこと、新しいことに挑戦したいという事は全く一緒であった。

 

最高の雰囲気の、夏の風を感じるアジアレストランで食事を終えた後、二人でパーソンズ大学とビジュアルアーツカレッジを見に行った彼女はビジュアルアートに興味があったようだった。

 

パーソンズにあった、卒業制作もまたぱっとしなかった。

 

僕はもうすでにヨーロッパに行きたいという気持ちが強くなっていた。

 

ロンドンで勉強したいという話を僕がしたら。彼女はロンドンのチェルシーという大学で勉強した事があるらしい。

 

その時チェルシー大学について、僕は全然知らなかったが、僕が入る大学と同じ系列だった。

 

チェルシーの先生や友達たちは、彼女がアメリカに行くことを聞くと。 皆で送迎してくれて、飛行場へのタクシーをチャーターしてくれたと言った。

 

とても温かい人達だったという話を聞いた。

 

アメリカ人の印象もここにきて変わったように、イギリス人もまた僕の印象と違うんだろうなと思った。

 

ひろしさんがアメリカ人はうわべだけで、本当は何を考えているか分からない。

そんなにウェルカムでないという話を思い出した。

 

アメリカ人には結局悪い印象しかないままこの地を去ることになった。まだ僕がアメリカ人について語るほど長くは住んでいない。

 

みんな日本に居る人やメディアで語られるいろんな国の人を見て、人種の特色を語るけど、彼らがやって来た国に行って一緒に過ごさないと。わからないものだ。

 

イタリアに行ったときも、この人達を知りたい、どんなところで生活して、どんな言語を喋っているのかって。 そうじゃなきゃわかるわけない。

 

逆を考えてみたらいい。日本人はこうだって、日本に来たことも無い人に言われるのは、いい気分がしないのではないでしょうか?

 

ボストンであったヨーロッパ人を総合的に考えて、イギリス人は意外と暖かい人達なのかと思い、気になりだした。

 

イギリスのロックが大好きだった。イギリスのグラフィックや映画が好きだった。

 

このイギリス人の感覚というものはどういったものなのか。

 

なぜこんなに優れているのか

 

僕は血だと思っていた。その血があるから素晴らしいものを作れる。

 

日本人にはそういう血統がないとそのとき感じていた。

 

だから僕はその血を持つイギリス人文化と交流して、感じてみたいと思った。