初めてのことばかりである
Annaとハグをしたときの事を思い出す。 彼女とハグをしてからそれ以来彼女と会っていない。 ハグをしたのは、ボストン滞在の始めの頃だったような気がするし(あのコンサートがあった日だったかもしれない)、月の終わりだったような気もする。 でも僕らはもうしばらく会えないと確信していたようだ。
ハグなんてした事がなかったから、その時の印象ははっきりしたものだった。 日本人の男性と女性がハグをすることはあまりないと思う。 さよならを言うときは、それではさよならと口だけ音を発して終わってしまう。
僕はAnnaの顔をハグをしたときに見たわけじゃないけれど、何故か僕は彼女がどういう表現をしているか僕の頭の中に刻み込まれている。 すこし微笑んで目を瞑っていた。 彼女のことをヒロシさんは車のすぐそばで、
「いいから早くさよならして、僕は彼女と会えるけど君は会えないね」
と思ってるようにも、
「うんうん。いい感じに別れてよかったな」
と言う風に思ってるようにも感じた。
彼は僕たちを見てて何とも言えないような体で僕を見つめていた。 そのハグは柔らかくて強くてしっかりとしてて。 言葉で表すよりもたくさんの思いが伝わってきた。
なんて気分の良いものなんだろう
と思った
僕と彼女が音楽を一緒に演奏したことも関係あるのだろう。 二人の人生をがっしりと握手させるような。 そんな感じ。
アジア人の男性が女性に触れるという行為をみて、セクシャルな意味合いを想像するが、触れる事が必ずしもセクシャルだとは思わない。
例え相手が世界で一番美しい人、もしくは世界で一番愛する人だったとしても、ハグをする時はそのようなセクシャルな感情は抱かない。
心が飛び込む合うような、近いところで繋がるような感じがする。
そして僕らは不思議に目をつむる。何か人と人の体が合わさる時は目をお互い瞑る傾向がある。
キスをするときも同じではないだろうか?神聖な行為を行うときはうわべの現実を見る必要はないわけである。見ないのが自然なのだ。
それは肌で感じる。
触感はこころに一番ダイレクトDirect(直接)に感じる感覚。
自分の感覚を繊細に繊細にしていきたい