水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

肌の色で心の色も違うのだろうか?

不安がわたし達を病気にさせる。 

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家に帰るとまたあの中国人の女性がいる。

英語力がないために、この人が大家なのか、また貸しをしてる人なのかわからなかった、たぶん後者であろう。 年齢で言ったら50代くらいだろうか。

  

彼女は不気味な雰囲気があった。特に笑ったときに。

 

この家に決めたのは、

 

  • 早くホームステイから出たかったから。

 

  • おばサンなのに髪の毛が過激な色に染まっていたから(確か赤か紫)。 

 

  • なにか親近感を感じたから。

 

  • 彼女に気に入られたから

 

である。

 

ところが彼女を知るたびに、彼女がすこしおかしな人ということに気付き始めた。

 

家には僕と二人しか住んでいないし、玄関には鍵がかけてある。

けれど、彼女は自分の部屋を2重に鍵をかけているのだ。

 

しかも結構頑丈な鍵。

 

寝る前にいつも

 

ガチャ、ガチャっと鍵を2回かける音がする。

 

一度話の中で、彼女が数枚の写真を見せてくれた。

僕は彼女の部屋に警戒しながら入り(あれだけ厳重にしてて、すんなりと僕を部屋に入れたので)

 

「この人達はおかしな連中よ、わたしを嫌ってるのよ。」

 

と窓から写真を撮った中東かインド系の人の写真を見せてくれた。よく内容が理解できないが、彼女から発した言葉でぼくは唖然とした。

 

「やつらは肌が汚いから心も汚いのよ」

と。

 

差別的な発言は日本にいたのあまり耳にしていなかったせいかはじめ聞いたときにはこの人は中東インド系が嫌いなんだな、としか思わなかったが。

 

肌が汚いというのもおかしな話だし、肌が汚いから心も汚いという言葉もかなり差別的だ。

 

浅黒い肌ははたして「汚い」のか、肌の色に対して汚い綺麗などと考えたこともなかったから、不意をつかれた。

 

では黒人はもっと汚いのか? いや中途半端だから汚いと思うのか? どちらにしても彼女の勝手な偏見である。それをいったら肌が黒い人が白い人に対して(自分と違い色だからという理由で)肌が汚いといえるのではなかろうか。

 

彼女がなぜこの人達の写真を撮ったのか、よく理解しなかったが、どうも彼女の思い込みな気が凄いした。 

 

「少し頭がおかしいのかな?」

と僕は普通に思った。

 

世の中にはいろんな人がいるな。

 

そして段々と早く新しい家を探さないとと思い始めた。

 

このとき、僕にはちょっとした問題を抱えていた。

 

中国人の彼女もそれに気付いていた。

 

「どうしたのここ?」と彼女が自分の唇をさして軽い感じで言う。

 

「ちょっと腫れてきたんです」と僕はすこし不安を隠せない調子で言う。

 

唇の下に小さいデキモノができていた。