また恋の落ちるのか?
数日後、彼女に電話した。同じ地域に電話してるのに。初めての電話に緊張した。その時は国際電話をしてるみたいで、ドキドキした。受話器だってもちろん日本と違う。持ち方は何となく分かるけど、プープーという音もまたなんとなく違う。電話をかけたら異世界と繋がるんじゃないかって思った。何度か電話したけど出なかった。セクシーな彼女の留守電の声がまた英語で何度も聞いて新鮮さを感じる。
また僕は恋に落ちてしまったのだろうか。
恋に落ちるか落ちないか。落ちてるか落ちてないのかなんて大抵わからないものだと思う。
またそれがわからないから人間の感情は面白いのかもしれないし、またそれがあることで深みにはまって全然違う場所へ僕らを追いやる。
これはまた宇宙の悪魔の仕業かもしれない。 ぼくらを混乱させ、変わった人を恋させ。僕らの真理から遠ざけるのかもしれない。
だから僕は思う、
この毎秒毎秒女性に会った瞬間恋に落ちる僕の人間力の無さは、常に試練を与えてくれているのだと。
恋は悪魔が与える試練
受話器を持ちながら、悲しい「プープー」という音と一緒にそんなことを考えた。
彼女はやっと出た。 出るとあっけない。 前のめりになっていた僕ははっとして、ただの日本人女性がぼくとボストンたる地で話を電話でしてるだけである。 もちろん話は新鮮であったけど。現実に戻された。
「えーっとね、Kendall Caféとかね...」
何個かオープンマイクができるカフェの場所を教えてくれた。
日本ではバンド演奏するだけでも、とてつもなくお金がかかる。確か10万円ほどかかる。だから三つぐらいバンド集めて3万円。バンドのメンバーが四人だったら7000円ぐらいである。演奏するのにお金がかかるなんておかしな話である。高校生に そんなお金があるのだろうか。
オープンマイクその言葉を初めて聞いて僕は少しワクワクした。
ボストン滞在11日目くらい