水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

ゴールキーパーという仕事に就く

またあの「どこか」にいる。

Artwork by Satoshi Dáte

たぶんドイツであろう。 この空間はよく夢で見る。右手に建物がある。家のときもあれば、高いビルのときもある。でもビルと言っても大阪や東京にあるような高層ビルではなく、すこしアットホームな今回のような土かレンガで出来たような建物。ちょっとぼこぼこしてゆかいな温かいたてものだ。 

まるで中東に位置するかのように。このまえの「彼女」と会った夢もそうだった。 僕らはあきらかに中東にいた。

 

なぜだろう。これで3回目だ「彼女」と会うときはどこか中東のような場所だ。インドには二人でいったことはあったが、ここはあきらかに僕自身も訪れた事がない。中東だった。

 

そして左側は人工の湖か、池、もしくは平地だ。 そしてこの土で出来てる多少大きな道はL字型に最後は左のおれる。そして四角を描くようにまたL字に左に折れる。 いちど夢の中でこの池のようなプールで泳がされた。

 

今回は平地だった。 ちょうど僕が通っていた桐朋小学校と同じつくりだ。

 

そして僕の背中には駅があり、大きな上を通る線路がはしる。そう、ぼくらの町はその線路から作り出されている。 吉祥寺の南口のような、ベルリンのある駅のような。

 

そして僕はそのビルのひとつにいた。「彼女」もいた。 彼女はだるそうにテーブルにのたれかかり、椅子にもだらしなく座っている。 彼女は妊娠しているようだった。

 

「2番目の子ども?」

 

僕がそう聞くと

 

「違う。」

 

といって、おなかに隠していたものを上着の下からいろいろとりだしてきた。

彼女はふざけているのか、擬似妊娠をしてるのか。

 

僕は安心したようで、気に食わないような表情をみせる。

 

ちょっと恐かったけど僕はきいてみる。

 

「君と僕の子供がほしいのだけれど」

 

かのじょはなにかもごもごいっているが、嬉しそうでいて、嬉しそうでない感じがした。

 

彼女はどこか別の場所にいるような、すでに僕とは関係のないところにいるようなそぶりをする。その一方でもはや人生がどうでもよくなっているような気もする。

 

彼女顔ははっきりみえなかったが、明らかに「彼女」であった。

 

「もう子供は疲れた」

 

というようなことを言っていた様にも聞こえた。

 

しかし彼女の子供は何処にも見当たらない。

 

彼女は自分の新しい仕事について語り始めた。

そうだんだんと興奮しながら。

 

彼女はサッカーをやっているようだ。キーパーだそうだ。

そう、「彼女」はラクロスを大学でやっていたか。

 

(実際にどんなスポーツかVideoでみてみたけど、こんな地味で不思議なスポーツをよくやっていたなと思った)

なぜか夢の中では彼女はハンドボールをやっていたような気がして。それに近い? サッカーをやってることになっていた。

 

ハンドボールは、確かに僕の学校のキャンパスで女子中学生高校生が試合をしてるのをよく帰りにみた。 僕らは柵からぼーっと女性が奮闘して、ボールを華麗に投げつけるのをみて

 

「おもしろいなぁ」

 

とみていたのだ。

 

僕は突然「彼女」になった。 ひっしでゴールをキープする。目の前に土ぼこりが舞い、ボールを地面といっしょにしがみつく。

地平線の中に僕は「彼女」は埋もれていた。

 

「彼女」はいう (この夢は全て英語だったような気がする)

 

「みんながいうみたいに、あぶなくないのよ。大変じゃないし、XXXファールもないし。みんなやさしい (攻撃する側も)」

 

これが彼女のあたらしい「仕事」だそうだ。

ふむ。だが素人がそんなプロの世界に簡単に入れるものか?

 

ぼくはすこし馬鹿にしたように「どうせ第3リーグくらいだろう」と後に女の子友達に語りかけた。

 

まったくもって夢では沢山のエゴが現われる。

 

だからこそ夢を分析することが自分の心理、真理を知る重要な鍵といえる。

そしてそこに出てきた人もまた彼らがいま 感じている何かであると僕は信じる。

 

これは確かに仕事である。サッカーだって仕事だ。 しかしずいぶん楽しい仕事ではないか。

僕はそう思った。

 

彼女は幸せそうではなかった。僕と会うのはおっくうではあっても別に特に問題はなさそうだ。でもとてもつめたい壁をも同時に感じた。

 

「彼女」は短い髪をしていた。

 

2022/04/29

R.S

Happiness: 3

Reality:7