二人同じベッドに寝ていた。
“Satoshi!”
Minの横にちょっぴりに長いマルいお饅頭のような顔が布団の上からさっと起き上がった。
眠そうな目の中に驚きが秘めている。 Choは彼女の横に気持ちよさそうに寝ていた。
僕はなんでその扉を空けたのか記憶にないが、僕がとても無頓着な人間であったか、なにか大事な用事があったのか、それとも僕と彼女はすごくなかよくて(そういう記憶は無い)ぱっとドアを開けてもいい仲だったか、たぶんこのどれかである。
んー。 もしかしたらノックをしたけど答えがなかったのでとりあえずあけてみたのかもしれない。 彼女の部屋からはベランダ(といってもただのお店の上にある平たい屋根)に通じていたのでそこにアクセスしたかったのかもしれない。
ともかく。僕は二人が一緒に寝てるところを見た。
ぼくは特になにが問題かも感じず。はっきりいってどうでもよかった。
彼らにとっては大惨事である。
ドアを閉めると。韓国語でなんやらあわてて話している。
「サトシofaewpofjapfojwaefj Satoshi あおfじぇあおfじぇお」と話してる。
なんかまずい事したかな。 思った以上にロンドンの夏は暑かった。 窓のない部屋にずっといるせいか頭がぼーっとしていた。
そのあと小さな会議みたいなものが家で行われた。
もちろんもう一人の台湾人の住民Annaも
僕は二人が仲良く一緒に寝てるものだと思った。
「僕たち仲いいんだー。 カップルじゃないよー」といい続けたので、本気で僕はそれを信じていた。彼らがカップルであってもなくても僕はどうでもよかった。
「Satoshiに見られちゃったらどうしようもないね…まあいずれはばれると思ったけど…」
と半笑いで話すCho。
「韓国ではね、結婚する前は同棲しちゃいけないんだよ」
といわれて、僕はびっくりした。結婚前の同棲は韓国では深く禁止されている(違法なのか?そんなわけないだろう)らしい。
僕は彼らがやってきた地域が古くて地方のほうかと思ったけれど二人ともたしかソウル出身である。
なんだかそこにも文化のギャップを感じた。
僕がドアをいきなりあけたことに少し憤慨していたかもしれないけれど、結局は時間の無駄であると思う。 そんだけ同棲したいなら二人ですめばよいものなのに。いやそうしたらカップルだとさらにばれてしまうからいけないのか… どちらにしても ロンドンにいて誰が通報するというのだ?
「これからね友達とか従兄弟が来るから、まずいんだよ。」
とCho
「そんなの黙ってもらったらいいんじゃない?」
と僕が当然のようにたずねると。
「そうはいかないんだよ、親の耳に入ったらとんでもないことになる」
Choは心配そうにまじめに答えた。
親が知ったらどうなるのだろうか?よくわからない。
Minは特になにも言っていなかった。困ったようすがあったが、それは彼に合わせてるだけにも見えた。それでもしかしたら彼女は気にしていないのかもしれないと思った。
僕には理解不能であった。
Minがときどき冷たく感じたので、なにか困った様子をみるのは随分不思議であった。 キャリアウーマンのように何もかもすべてうまく出来る女性には見えたが、なんてことはない若いアジア人学生にみえてきた。
考えてみればこの家は皆ファッションを目指している人が集まっていた。彼女もセントマーチンズのFoundationコースに行く予定だし。ChoもFashion Photographerだ。
これから韓国から数人の友達や家族がやってくる。
友達は何人かやってきて如何にもアジアの友達、男性性がつよい男達がやってきた。 韓国語ばかりだったので殆ど記憶にない。
Choの従兄弟が変わった人だった。 とくにChoとも仲がよかったようには見えないが彼女がいたときに面倒な事件が起きた。
僕が尊敬してかっこいいと思った女性Kay。(日本人男性にこういう言い方をするとおかしいといわれた事が多々ある。女性にかっこいいという形容詞はあてはまらないとか)
が居候でAnnaの部屋に住んでいたときだった。