北ロンドンへ訪問
彼女が青い髪だったらもしかしたら、入居しなかったかもしれない。赤い髪のおばさんのところへ、何故住み込もうとしたのか。わからない。
新聞の広告をみて、北ロンドンに住む赤い髪の少女、でなくて、中年の女性の家を見学に行った。
彼女一人しか住んでいなかった。
目がぎょろっとしていて、痩せてるとはいえない体系。少し華やかな色の服を着ている。
この時僕は千里眼を手に入れていなかった。彼女の目の奥底に、何があるのか。みえていなかった。
扉を開けると、いきなり階段があり、その階段を登るしか選択肢がない。 まるでダンジョンゲームのようだ。
階段の上にフラット(アパート)がある。
油臭い。
この時僕は「油」と「中国」をリンクするほどの知識を得ていなかった。
階段を上り終えると、右奥にユニットバスルーム、その次が彼女の部屋、そして僕が泊まるかもしれない貸部屋、狭いキッチン。
2階に上がっても薄暗かった。 狭いキッチンの奥にある窓から。もう一つの光は反対側にある洗面所から。洗面所の扉を閉めたら光はキッチンからしかやってこない。
ここは兎に角安かった。親から仕送りをもらっていたけど、僕は留学始めの時にできるだけ節約をしていたから安い部屋に入ろうと必死だった。
そこの家賃ははっきり言って、今考えればタダみたいなものだった。
ホームステイから抜け出したくてしょうがなかったから、この女性と二人暮らしになるけど構わないと思った。とりあえずここに決めるか。
どうするか。
迷った。