油ぎった中国人の家
守られている世界から外に出たかった。危険や不安もあるけど、あえてそうしなくてはいけないと感じていた。親もとを離れて、別の国に住んで、鳥籠にいてもしょうがない。日本国とは関係ないところで自分の人生を構築したい。
竹の(松竹梅の中級クラスの値段で契約したので)ホストファミリーのところには1か月住む予定であった。
僕はもうそこに住むのが嫌になった。出たいけれどまだ契約があるから、下手なこともいえないし、気まずくなるのも嫌だったから、内緒で次の家を探した。
中国人の女性が住む家に見学に行くことにする。
今住んでいるホストファミリーの家は西のアクトンという日本人が多く住む地域だ。中流階級の人が沢山住んでいて、とても静かだ。
中国人の家はKilburn(キルバーン)という街にあった。 駅名はDollis Hill。
駅を降りるとすこし荒い感じでグレーな印象だ。
地図を回転しながら、ロンドンについて初めての見学する家に着く。
扉をあけると、目の前に階段があった。薄暗い。
いったいどの辺だったか、今もう記憶にはない。 芝生がびっしりの丘を上がったとこだったような気もする。