自分の世界
チャーリー・ワッツのコンサートが終わって
僕は夜まで風来坊な日本人の男性と喋っていたのかもしれない。
このときの写真が残っているが
どうやら朝だ。
寝過ごしたとしても3時間もバスに揺られる事は考えられない。
この頃友達もいなかったし、クラブに行ったりとかそんなこともしてない。
となればこのジャズコンサートの後にどこかでこの40代くらいの男性と長話をしたのかと思う。
年上の人だったが得たいが知れず、こういう大人にはなりたくないなと思った。
なんというか子供のまま大人になったような、責任感がなさそうなタイプであった。
外も寒かったので僕はとりあえず心地よかった。
人間観察も面白い。
僕はバスで帰ることにした。
夜4時くらいだったので僕はうつらうつらとしてしまった。
はっと気がついたときは、全然知らない場所にいた。
とにかく緑に緑。
誰ももう乗っていなくて左側をみると素敵な西洋風な(あたりまえだけど)家々がならぶ。
ロンドンをでてしまったのか?なんて馬鹿なことを考えていた。
いそいでベルを鳴らして2階から1階に駆け下りる。
ドライバーにここはどこかも聞かずに僕は次の駅で降りる。
少しあせった。 周りは緑が多かった。ずいぶん遠くに来てしまったようだ。逆行きのバスに乗らないと。
と思って停留所の駅名とマップをみたら、自分の家からさほど遠くなかった。
少し距離はあるけれど歩くことにした。
ちょっと離れただけでもこんなに違うのか。ロンドンもZone4(ロンドンはZoneで中心から1から9くらいまで分けられている)まできたらかなり田舎だなと何となく嬉しく感じながら思った。
帰りの道は楽しかった。
幻想的とは言えないけど、人気のいない緑の道を歩くのは快適だった。
やっと家のドアまでついて、静かに中に入って、ぬくぬくのベッドに入って静かに、微笑みながら眠りに落ちた。
ちょっとした自分の世界がロンドンでも芽生えた気がした。