水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

喋る事をやめた裸足のドイツ人と会う。

Leipzig訪問

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ドイツのアートの街Leipzigに訪問。

滞在先にて裸足で外も歩くしゃべることを止めたドイツ人の男性に会う。

彼は立派な髭を生やしていたが、汚い

イメージはなく、とても信頼がおける微笑みをする人だった。

彼はある女性に告白するためにこの地域に来たようだ。

僕らはすぐに話をするようになった。

 

彼が喋る事を止めたのにどうやって会話するのだろうか?

 

彼は古い携帯を取り出し、そこにタイプして僕に見せる。毎回とてもシンプルでわかりやすい英語だった。

 

彼は僕にとても打ち解けてくれて、もしかしたら君となら少ししゃべることができるかも知れないと言ってくれた。

 

40分ほど歩いて着く、印刷ミュージアムに一緒に付き合ってくれるらしい。またそれも偶然に彼の訪問する女性の家がすごく近かった。

 

寒い中僕らは時々語りながら長い距離を歩いていく。

まるで僕はファンタジーの世界にいるような、そんな気がした。

 

彼が喋るのを止めたのはあまりにもべらべらと喋るのが嫌だからだという。そして書いて話す方が集中して言葉にできるから。と言っていた。

 

不思議なことに僕が語った1,2分の言葉を、一つの文でシンプルに返してきた。それで意思疎通ができたのだ。

 

博物館についた。

 

彼は熱心に展示をみる。

上の階で、スタッフが特別なプリント(カラーグラフ?カラープリント?名前を忘れてしまったが、もう京都とこの場所にしか機械がないらしい)を説明してくれた。

 

ガラスに特殊なカメラでそれぞれのカラーをフィルムを作って油の顔料でプリントするそうだ。水彩画も再現できるようでみせてくれた。

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ヴァン・ゴッホの油絵の複製がとても美しく、60年前のものとは思えなかった。時間とお金がかかるものがどんどん消えていくなかで、まだアナログで自然の力で出来たもの信じる人達がいるのは嬉しい。

 

僕たちは全て見終わってロビーに戻る。

 

彼との会話で

「人は誰しも矛盾を抱え。良いものと悪いものを備えているものだ」

 

という言葉をもらった。

 

彼はやっぱり一人で彼女のところへ行くと言って、長いハグをして僕と別れた。

 

そして僕は寒い風がふく公園の中へ歩いていった。