水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

マンハッタンに着く

興奮状態 

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バス停におりて。 僕は途方にくれる。 ニューヨークに一人でいることに興奮する。 僕は地図を持っていたと思うが、とりあえず紙切れに書いた住所をなんども見つめる。 ホステルはバス停から意外と近かったので歩いて行く。

マンハッタンというのは所謂島である。周りは水に囲まれている。 だから周りに沢山の大きな橋がこの島と繋がっている。

 

なんでこんなふうに設計されたのか。僕は知らない。 橋を渡らないと着けないのは不便である。近未来の都市。 それもまたデザインなのかもしれない。 

 

考えながら着いた場所は何かのセンターであった。 公共施設か、何なのかよくわからなかった。 とりあえず gallery ではなかった。 

 

ホステルはこの建物の向こう側にあるのだろうか? とても大きな建物だったのでこの先に何があるかわからなかった。 まっすぐ建物の中を進むと大きなガラスにぶつかった。ガラスの向こうは海である海と言うか水である。 大きな水たまりだ。 その向こう側にはまた違う街が見える。

 

はて。

 

はて。これは飛び込めと言う神のお告げなのだろうか。

 

この大きなガラスを思いっきりぶちやぶって飛び込めと言うのであろうか?それが僕の旅の最終目標であるのだろうか?

 

本気で思った。

 

首を傾げたが、もしかしたら今日はどこにも泊まれないのではないかという不安が込み上げてきた。

 

はたして、住所は向こう側なのだろうか? 橋を渡るのは大変そうだ。

 

警官がたむろっていた。 ちょうどいいと思い僕は女性警官に話しかけた。 

 

「この住所はありますかと聞く」 

 

こんな住所はないと言われた。 そこで困ってホステルに電話したらいいんじゃないと言われる。

 

そして僕は

 

「英語が喋れないんで電話をしてもわからないと思う」

と不安そうに言う。相手が警官なので多少緊張する。

 

「あなたは今私と話してるでしょ、なぜ電話で話せないと思うの?」

 

忘れもしないごもっともな言葉を頂いた。とても嬉しかった

 

「一度電話して、ダメだったら私のところに来なさい」と

 

ライオンのお母さんかと思った。

 

「そうかこんなところでめげてはいけないと思い」 

 

公衆電話を見つけ、コインを入れて電話をする。

 

女性が電話に出た。

 

「住所を確かめたいんだけど」

と恐る恐る。

 

「彼女は紙に書いてある同じ住所を伝える」

 

おかしいなと思って。 何度も住所を見る。

 

彼女はだんだんいらだち最後は殆ど怒鳴る調子だった。

 

「...8」

Eightといった。

 

あ、あーーーーーーーーなるほど。

 

ヒロシさんはなぜか住所の最後にAと書いてた。

 

AEightの聴き間違いである。

 

本当の住所がわかった。

 

警察にお礼を言って、タクシーでホステルまで行くことにした。

 

やってくれましたね。ヒロシさん...