水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

$100ギター

予定してないことがどんどん生まれる。 

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                   illustration by Satoshi Dáte

「音を奏でたい」

 

と強く思った。僕には筆と紙は常に必要だったけど、楽器もまた常に必要なものだ。

では楽器がなければいけない。僕の楽器はギターである。ギターを持ってきていない。

持って来れないと思って持ってこなかった。日本の家にはアコギがないから。アコギを買おうと思った。現地の人に安いものがあると聞いたから。100ドルギターを買いに行った。

 

楽器屋は沢山あったけれど大きいところにした。もちろん英語なんて何も分からない。

 

なんか喋ってる店員が何か喋って、何か語り掛けている。でももちろん彼らの仕事と言ったら楽器を売ることだから、僕が買うと言ったら、売りたいだろうからそんな難しいやりとりはないと思う。

 

しかも僕は100ドル足らずのギターを買う。 そんな安っぽいものを売るのに、これは素晴らしいとかなんだとか、売り込んでこないと思った。

 

僕は99ドルと書いてあるギター(100ドルと書いたらいいのでは?)を持って僕は軽く弾いて、というより、弾いてるふりをして。デザインをみてすぐに決めた。

 

アコギなんて実は弾いたことなんてほとんどなかった。クラシックギターが実家にあったのでそれをアコギ代わりに弾いていた。 あとはもっぱらエレキのみ。 クラシックも2か月程度勉強してエレキに転校し、自己流で勉強した程度である。

 

アメリカでの初めての買い物は100ドルギターであった。

 

これで練習が出来る。これで音を奏でて、異国で表現することができるようになったと思った。