水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

謎の美術教授現る①

ボストン大学へ

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Artwork by Satoshi Dáte

僕は結構ジャッジメンタルである。英語でジャッジメンタルとは「第一印象で判断する」と言う意味である。あまり大した情報なしに決めつけるということ。 そんなこといったら僕と関わりたくなくなりそうだ。今言った事取り消します。 

でもこの「決めつけ」は良い方に変わることばかりである。ようするに良く言えば人見知りである。

 

では一緒に住んでる4人はどういう印象だっただろうか?

 

ピアニストのEvaの最初の印象は背の高くて金髪の人。あまり面白い人ではなさそう。西洋人なんてろくに見たことないから、昔大好きだったビートルズのポールマッカートニーにちょっと似てるなと思ったぐらいだ。 僕が美しいと思わなかったから、単に興味がなかったので計ろうか? 随分ひどい男である。綺麗でないから人間として興味がなかったのだ。

 

韓国の彼は太っていたので何かだらしないイメージがあった。 そしてもちろん興味なしである。アジア人なのになぜか遠い壁を感じた。文化が近いからこそどうしたらいいかわからないのである。

 

でも時々日本語が飛び交うので。 好印象ではあった。 チェリストのIoanaは僕にとって美しい人だったのでいい印象があった。 今分析してみるとなんとも単純だ。ひろしさんもにこやな感じだったのでいい人だなと思った。

 

第一印象というのは不思議なもので全くガラリと変わることがある。

 

ある日Evaはボストンユニバーシティにいる教授に会わせたいといってくれた。New Yorkで勉強をしたいなら何かを教えてくれるかもしれない。と。

 

これはまたとないチャンスである。ヒロシさんに聞いたって、音楽だけだし、誰にも尋ねられない。是非ぜひということでアレンジしてもらった。

 

彼女は彼の授業を何度か受けたことがあるようだった。 Evaはとても親切でどんなことでも無償でしてくれた。毎日のように根気よく英語を教えてくれた、僕の悪い英語をどんどん直してくれた。

朝早く彼女と一緒に大学に向かう彼女はズンズンと歩いていく。僕もいっしょにズンズンと後をついていく。それにしても足が長いから僕が遅くなるのである。 彼女もきっと忙しいだろうに、僕なんかに時間を使ってくれるのは悪いなと思った。 

 

大学にいる偉い先生と英語がわからないのに話して、僕は一体どうしたらいいかわからない。 そういう事を彼女に言うと、またきょとんとした顔をする。

 

「私が隣にいるから大丈夫よ」

と英語ではなすわけだが。

言語というものは不思議である。慣れている人だと、安心して何を言ってるかわかるのである。 初めての人だと同じ英語でも何を言ってるのか全然わからないのだ。 英語もまた、気持ちが通じ合うかどうかでコミュニケーションできるかどうかが変わる。

 

大学の入り口を通り、広がったスペースに向かう。そこらじゅうガラスだらけの場所だった。Evaはイスとテーブルをみつけ、そこにぼくを座らせる。忙しそうにいろんな学生が行き来する。 僕らのテーブルは小さくてそんなに落ち着くような椅子ではなかった

 

Evaが立ち去り、しばらくすると白髪で立派な男性を連れてくる。立派な人は立派な感じにゆっくりと座り、立派そうに挨拶してきた。アメリカの大学の教授というだけで僕はスゴイなと勝手に思った。 

 

これもまた僕がいい意味でジャッジメンタルなところがあるからだと思う。 いやこれはみんなそうではないだろうか? そうではないのか?疑わしいという事だろうか?それとも単純に印象を飲み込んでしまうのだろうか?

 

続く>