水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

繊細で神経質だといいことがある

ゾンビになってしまった

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ボストンでやることは漠然としてた。

 

沢山の美術館があるので初めのうちはアートを触れるように美術館に足を運ぶことにした。この1ヶ月間の滞在はイギリス留学の大切な準備時間になった。 僕にとって最も重要で転機となる経験だった。

自分が弱いとか、自信がないとかそんなことを分析する余裕すらもなかった。 ただ単に自分は、何もかもが絶望的で藁をも掴むような思いだった。 

 

常に喉が渇いていて、水を飲んでも飲んでも口の中が渇いて、それを続けないと枯れ木になる気がした。空気をもエネルギーにして、霞を食べるかのように歯を食いしばって生きていた。

 

自分の足が地面にもついていないのが分っていた。そんなふわふわの自分を、思いっきり投げつけるかの様にボストンに放り投げてしまった。 はじめての海外生活は皆どう感じるのだろう?

 

初めての海外生活。 観光とはまた違う。 ここで一生生活する。日本には帰らない。 そんな気持ちで来るのと帰国予定で来るのではまた違うのではないだろうか?

もう帰れない。先に行くしかない。だからふわふわと浮いているようで。恐い。

だけど川の上を泳いでいるように、激しい流れが押し寄せてくる。水のちからに任せるように、時には岩にぶつかるけれど、進んでいかなくてはいけない。

 

もう後戻りは出来ない

 

 僕が神経質だから、勝手に虚偽の世界を創り上げているだけなのだろうか?それとも僕が見えている世界が真実で、皆はそれを見れていないのだろうか?

 

僕は繊細だ。 ニューヨークで感じた恐怖と同じようにニューヨークの感じた恐怖がまたやってきた。 小説「はてしない物語」の「虚無」がゆっくりやってくるみたいに。全ての五感から感じるものが恐怖だった。 

 

ボストンの朝の街に初めて出て、黄色く輝くボストンの太陽に照らされてゾンビと化していくようだった。