ジャンピン・ジャック・フラッシュ
数十年前に無料コンサートしたローリングストーンズのハイドパークを訪れた。
ハイドパークと言ったらそれしか思い浮かばない。
よくニューヨークのセントラルパークとごっちゃになる。
中学の時僕はストーンズが大好きだった。
ビートルズの時代が終わり、ストーンズの黄金期がはじまる頃のブライアン・ジョーンズ追悼コンサート
ミック・ジャガーとキース・リチャーズの二人が立っているブートレッグCDを電気屋でみつける。 60年代の音楽しか聴いていなかった僕。
騒がしい音楽は好きじゃないけど。
二人のクールで威圧感のある目に
これは買わないといけない...と思って買った。
CDをCDプレイヤーにいれる。
再生ボタンを押す。
今ではYoutubeで簡単に再生できる。
こんな無駄な動作が、僕らをワクワクさせて、一瞬一瞬に緊張をもたらしてくれる。
だから一つの音と音に集中できる。
どんな聞いたことのない音がでてくるか心を踊らせるのだ。
きいたことのある曲も沢山はいっていたけど、殆ど知らなかった。
全然うるさいと思わなかったし、単純にかっこいいと思った。
かっこいい音楽なんて聴いたことがなかった。
エルビス以外。
完全に夢中になってしまった。
それ以来あまりビートルズを聴かなくなった。
ストーンズの音楽はなぜか古さを感じない。
このハイドパークでは大きなコンサートを時々する。
あのパバロッティもここでコンサートした。きっとピンクフロイドとかも。
カメラを地面に置いて自分を撮った。
この時の写真をみると、奇怪な写真が沢山みつかる。
鴨たちと戯れるところを撮る。
誰も友達がいない国で、誰も僕に気にしないところで
誰も僕に興味がない。ってわかっているとなおさら寂しさを感じる。
寒々しい風が耳をかすめて、ひとりでその寂しい自分の写真を撮るのだった。
日本に帰っても僕を理解してくれる人なんていないし。さてどうしたものか。
無表情の鴨たちは友達になってくれるかもしれないけど、これからの留学を全面サポートはしないだろう。
鴨たちの声や人の話し声はこの大きな公園の中でぽつぽつと出現しては空に舞えあがった。
僕の音はカメラのシャッター音だけ、ぼくは三脚もないので地面にカメラを置いて撮った。
ロンドンは風が強い。 そんなことも知らなかったから、自然が僕に権勢をかけてる気がした。
新たな出発ができるか不安でいっぱいだった。