部屋を探すことに
ロンドンの中心ど真ん中にある、僕らの通う語学学校の最上階には食堂があった。
お金を節約していたので、ここに来る事は殆どなかった。 東側には窓が無数にあって、昼はまぶしいくらいに光が入ってきた。
上級クラスの人は堂々とそこにいるけれど、僕らの中級クラスの人はそこではあまり見かけなかった。と思っていたのは僕のネガティブな勘違いだったのかもしれない。
節約というよりも僕はそこにいくことが恐かったのだと思う。
僕は週に1回くらいその食堂へびくびくしながらでかけた。
そこでひょんなことから上級クラスの日本人女性に出会った。はるかさんという子でアート系の雰囲気の子だった。 予備校で気になっていた女性に雰囲気が似ていた。色が白くて、肌が少しあれていた。目は小さく、唇は細く、「和」な顔だった。
彼女と時々食堂で会うようになり、少し仲良くなった。 男友達のヨウタは僕がほかの友達と仲良くしているとシャイで出てこない。
僕がいろんな人としゃべっているのを少し羨ましがっていたかもしれない。
ヨウタとも仲良かったが、自然に喋れる女の子の友達が出来たのは嬉しかった。
語学学校の説明会でみかけた、かっこいいタイ人の女性Kayを紹介してくれた。
このKayとは今でも時々話をすることになる。
英語が上手でボーイッシュで見た目がクールだったので、僕は女子高生の女子が先輩を見るような目で彼女ととにかく仲良くなりたがっていた。
そこですこしずつ上級クラスの人と仲良くなっていった。
僕が家を探しているという噂がどんどんひろがって、韓国人のチョーと同じ国籍の女性Minがやってくる。
「よろしく、部屋を探しているんだって?」と愛想よくはなしかけてきた。
チョーは中肉中背でメガネをかけている感じのよさそうな男性。Minは妖艶なかんじで切れ目で綺麗な子だった。
はるかが「Min綺麗でしょ」
と耳元でささやいてきた。
そんなこんなで彼ら2人で部屋を探すことになった。
「感じがよさそうな」男性
「綺麗めな」女性
に僕は騙されることになるとは知らずに。