水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

騙される

いや騙された

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やっと引越しが出来る。

僕は語学学生の人達とあまり仲良くしていなかった。

でもみんなは単なる語学学生ではなくて、おなじ芸術大学に行く人達だった。

 

だから同じ志の人達が集っていたので話しやすかったし、もっと友達を作らないととも思っていた。

 

上級クラスにいる20代後半のみなこだけ、同じコースに行くことを知っていた。彼女は上級クラスでずっと年上だったので(そう感じていた)、恐れ多くて話はほとんどしなかった。

 

背が低くて整った顔をしていた。

 

学生と一緒に住む事はあまり気が進まなかったけれど

語学学校のトップクラスにいる人達と住むのは僕にとって英語を上達するという最初の目標と重なり、重要なことだった。

 

このときイギリス人と一緒に住むなんて夢のまた夢だと思ってた。

 

アジアと住めるのがまだいい方だと

 

自分で勝手に壁を作っていたのだ。

 

僕みたいな日本人と住んでくれる人何ていないだろうな

 

英語が出来ない日本人なんて受け入れてくれないだろうな

 

と本気で思ってた。

 

アジア人。といったけれど、日本の外に出るまで東アジア、へたをすれば、中東の人達、含め、われらが兄弟アジア人。と感じたことはなかった。

 

語学学校が始まって、私達は黄色人種もしくは有色人種ということで違うのだなという事が段々と肌で感じるようになった。

 

 

これから長い留学生活が始まるのだから、最初は学生と住んでもよいではないか、と決心した。

 

もう少しで学生と住むという経験がつめると思ったときに、ぼくは最上階にあるカンティーン(食堂)に他の3人に呼ばれた。

 

彼ら3人は奥の席に座って、なにやらうつむいて話している。

 

「これは、何かまず感じだな。」と感づいた。

 

そこで僕が近づくのに気付いた、チョーはいかにも調子がよく、フレンドリーさをアピールするかのように

 

「Hey, Satoshi!  How are you doing?!」

 

と、ますますこの会合を信用できなくなる。

 

座るとやはり、悪い相談事である。

 

「君はあとから僕らのグループに入ってきた、だからやっぱり、君にはあの窓のない部屋に入ってほしい。後から考えたら換気がないと空気の入れ替えが出来なくて凄く危険だと思ったんだよ。」 とChoに言われる。

 

後から入ってきたから、あなたには権限がない。というのはおかしな論理だった。

 

「君があの家に引っ越さなくてもいいけど、そのかわり条件を与えるよ。 家賃は安くして僕らが負担する、そして1ヶ月前に知らせてくれれば、いつでもでていい」

 

契約は6ヶ月間だった。

 

悪くはないが、まさか窓のない部屋に、牢獄に僕の新たなロンドン生活が始まるとはおもわなかった。 長期でどこか落ち着く場所をさがしていたのに、またこれか?と思った。

 

そして僕はもう入る家が無いことを彼らは知っている。

 

台湾人のAnnaはずっとうつむいていた。まさかAnnaにまでこんなことをされるとは思わなかった。

 

僕が唖然としてると

 

韓国人の女の子のMinが

 

「So… Sorry about that…!」 (ほんとにごめんなさいね。)

と顔をくしゃっとさせて、気の毒そうな顔を作っていう。

彼女は美人で頭がよくて、戦闘能力が高いというイメージが会ったが、したたかさがそういうふうに僕を思わせたか…

 

その顔を見た瞬間美人に思えなくなった。

 

Annaはなんかいいくるめられて、フェアじゃないと思ってる感じだけれど。この二人とすまなくてはいけないのか…

 

しかしChoはカメラマンだ。暗室で写真の現像の仕方を教えてくれるといっていた。

 

小さい頃、叔父のニーナの家に暗室があった。

 

赤い色にひかる部屋で、とても不思議に感じた。入っちゃ駄目といわれていたから入る事はそんなにできなかったけど、いつも現像の仕方を教わりたかった。

 

小さい頃の夢をかなえるためにも、しょうがないかと僕は彼らの条件を飲んで牢獄に引っ越すことを決めた。