私は地下鉄のプラットホームで佇んでいた。
ギターを持つ手がふるえ、フレットを抑える指が冷たく固まる。練習を何千回としたって。僕は人前では歌えない。
そんな恐怖がいつも肩にのしかかる。
日本を飛び出しても、ボストンに来ようが、イギリスの地に身を置いても
私は何も変わらず。
負け犬のままなのだ。
年齢なんて存在しないと僕は常に言ってきてる。
ただ背景をすこしだけでも理解してもらいたいために伝えると。
この曲は10代後半に作った曲で
レコーディングもドラムマシーンを再生しながらギターとボーカルを同時録音した
とても粗削りなデモ。 英語も滅茶苦茶で。尊敬する叔父にささっと訳してもらったものである。
その時歌って曲
Violet with a naked eye – spirit mill
Composed (作詞作曲) by Satoshi Dáte
https://soundcloud.com/spiritmill/violet-with-a-naked-eye
歌詞の内容
たくさんの表情が僕の目の前に過ぎ去る。
固い地面に私はたたきつけられる。
全ての世界を焼き尽くせたらと願う。
そして私がたった一人になっても、構わない。
あなたに会いたいから、私はまた夢の続きを見ようとする。
僕が何度も何度も振り向いても前に進むことができない。
ここにとてつもない抑圧がある…
曲を終える。
皆が拍手をしてくれる。
カポタスト(フレットにつけて音階を変える道具)を使っていたので、後の出番の人が貸してくれといってきた。 僕はもう帰らないといけないからといって。 他の人の曲も聴かず、僕はそこで勇気を出して歌う事ができた自分を抜け殻の様に置いていって、カフェを飛び出した。
地下鉄の駅のプラットホームはやけに静かだった。真っ暗闇の中にわずかな色が見える気がした。
皆は確かに曲を聞いてくれた、途中でステージから引き下ろされたわけではない。でも彼らは僕の音楽を感動してくれたのだろうか? 完璧を求めていた僕にはショックがあった。自信がない癖に、完璧を求めていた。
僕はなにを望んでいたのだろうか?
カフェにいた全員が立ち上がって。涙を流して絶賛でもしてくれるとでも思ったのだろうか?
それは間違いなく、僕の人生の第一歩であった。 できないことを挑戦してできるようになったのだから。
表現をしたくて、表現ができなくて、やっと表現できるようになったのだから。
でも僕は皆の反応が普通であったことに、満足がいかなかったのだろう。
要するに、彼らには僕の想いが伝わらなかったのだ。 伝わらないのなら、伝わる人に伝えればいい、そして伝えるように他の方法を考えればいいのだ。