光が生まれたとき
私は同時に生まれた
ゆっくりと
人類が生まれ、育つまで
そっと、じっと待った
意志を持ち始めた人々は
闇の中で私を温め続けた
やがて、言葉と共に忘れ去られ
無意識だけで語られていった
幾年も経ち、女は私をみつけだす
光が僅かにさす場所で、ほぐされ、やわらかになっていった
思いをよせる男への気持ちと共に私を紡いだ
溶け込みそうなほど細くなり、重なり、やがて衣となる
男は衣を羽織る
また新しい私となる
湿らされ
転がされ
いろとりどりになる
そして、そらに放たれる
粘りけのあるまっくろの渦からまもられ
培われてきた
人が絶えてしまっても
自然のこどもたちに渡されていく
少しずつ、少しずつ
時間をかけ、大切に
心を込めてまた育てられる
この世界がなくなっても
形を変え
あらたな力を生み出していく