水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

これ以上ない心地よい風がふいた

メトロポリタン美術館

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ニューヨークといえばギャラリー、ミュージアム。ロンドンと同じように美術館や博物館が沢山ある。そのどれも訪れなかった。 それを見上げて、怖気づいたのか入らなかった。

また来るさ。と僕の耳元にもう一人の自分がつぶやいた。

 

トーマス・クラウン・アフェアという映画がある。この映画はとても好きである。ピアース・ブロスナンが主演で、音楽もとてもよく、良くできた映画。 大好きなマグリットの絵も出てくる。68年の映画のリメイク。

その中の面白いシーン。全部見たい人は見ないように―。

英語でネタバレのことをSpoilという。ネタ晴らしする人を「spoiler」といいます。

で、いまぼくはその映画をあなたにSpoilしようとしてると言えます:)

youtu.be

 

メトロポリタン・ミュージアムへも行かなかった。

知らない人もいるかと思いますが。メトロポリタン・ミュージアムと言えば…

youtu.be

 

尊敬する叔父も、父もここに来ていた。でも彼らから、何か情報を得たわけではない。 叔父は「Soho」に行けば沢山ギャラリーがあると。

 

だけど恐くて入らなかった。

 

 

これからできる新しい友人とちらっと入った記憶はあるが、どんな感じだったかも覚えていない。 

 

そして僕はパーソンズ大学に着く。 いったいどうやってそこまでたどり着いたか不明だ。 携帯も持っていないし、テクノロジーも信じない僕。 大学の入り口に入ると、そこに日本人らしい女性がいた。 

 

僕は話しかける。 とても感じの良い人ですぐ仲良くなった。 僕はお腹をすかしていたので、彼女はパーソンズを見に来て今入ろうとしていたことも知らずに、中華街で昼食を食べに行くことにした。

 

彼女はこの周辺が詳しそうで、前にも行ったことのある、チャイニーズ・レストランに連れて行ってくれた。 中はとてもいい雰囲気だった。 ベトナムにいるような、エキゾチックな内装。 外は暑かったのに、不思議なことに中はクーラーもついていないのに涼しかった。 

 

その時の光景、風を今でも忘れられない。 2階のテーブルの席に二人は座る。 窓際だった。お客さんほとんどいない。 その窓からニューヨークの街が見えた。海も見える。 これ以上心地が良い風はないと思うくらいの風が、僕の思い通りに体を包み込んでくれた。

 

落ち着いた彼女がいて、やっと日本へ帰る気持ちを整えてくれた。