横目の3人組
中国系なキッチンはそこらじゅう油でベタベタ、ベタベタのギトギトのキッチンから逃走したくて、僕は朝早く語学学校に向う。
そこにはあの3人組の一人がいた。
その一人は大きな体で髪がぼさぼさの僕と同じ学校死亡の男子。
ゲイの人はあんまりみたことないし、話したこともイギリスで最初に仲良くなったヨウタがはじめてのゲイの男性だった。
だけどこの大きな体の、ぼさぼさ髪のかれはなんとなくゲイだと思った。
英語で
「Morning」
と言っても
思いっきり無視である。
彼と仲のいい、二人の女性。いつも一緒の横目の三人組みのひとりである。
横目というのは、僕が彼らの視界に登場すると、顔を動かさずに横目でおもいっきり馬鹿にしたようにみるのである。
3人そろって。
おもしろいぐあいに。
2人の女性のうち一人はメガネをかけて、パーマがかかって、若いのか歳をとっているのかわからない、細くて小さい女性だった。
もうひとりは、すこし中肉な感じでムーミンを思い出すような顔だった気がする。
3人とも名前を覚えていない。
断っておきますが、私は何も彼らにしていません。 強いて言えば、朝英語で「おはよう」を言うこと。そして、記憶にはあまりないけど、英語で答えようとしたことだろうか。
でも日本語でも話をしたこともあったと思う。
何にしてもイギリスに来てイギリスの文化に解けこんで、ファッションデザイナーになって、ファッションという枠組みをぶち壊してアートに仲間入りさせて、ついでに歌も歌ってロックスターになるつもりでイギリスにやってきたのに、いきなり日本人と日本語で話している暇はぼくにはなかった。
僕は…
無視するならどうぞ。
という感じであった。
「いつかイギリス人の友達をいっぱい作って、こんな連中と話をする必要もなくなるのだ!」
と夢想していた。