水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

ふしぎな生命体

うちの犬にもそのひっそりとした生命体が宿っていた

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Ryu chan


かわいいふさふさの毛がついている皮の奥になんだかわからないしこりができていた。

こういうものは昔から触ると良くないという。

触ると大きくなるとか悪性になるとか

言う。

生きてないものが生きているものになるのか、掴んでみるとこぶとりじいさんのこぶみたいに奥底でくっついているような感じもする。

 

なるほど寄生虫のようなものか?

 

獣医にはみせなかったけれど、特に大きくなるわけでもないのでほおっておいた。

 

小さい頃にも右手の親指と右足の2番目の指に謎の硬いできものが同時にできたことがある。 気になっていじると、ときどきそれが裂ける。

 

気味の悪い話で申し訳ないが、割けると実際の皮膚とそのできもの間におおきな分かれ目がみえる。まるで絶壁の断崖のようである。無数の繊維が奥底にまで繋がっている。

裂け続けたら自分の心の世界へ届いてしまうのではないかという勢いだ。

 

僕はちょっとこわかったので、誰にもこれを見せることも事細かに説明することもしなかった。

 

気になって、触らないようにした。 割けるときは多少なりと痛かったのも理由の一つだ。

 

ところが不思議なことに、1年足らずで手も足のものも同時にぽろっととれて、暫くしたらあとかたもなくなった。

 

「あれはなんだったんだ?」

 

「あれはなんだったんだ?」 ということ、体でおきたことありませんか?

 

今回イギリスでできた腫瘍もなんで出来たかわからない。

だからほおっておけばまた取れるのではないかと20%くらいの軽い気持ちで望んでいた。

 

ロンドンに日本の医療センターがあることを知らず、誰かからその存在を聞いて「日本の」ということで、釣られていってみた。

「同じ日本人ならなんとかしてくれるだろう」

「日本人なら安心だ」

というのは外国では通用しないのである。

 

僕は長くイギリスに住んで時にはこの常識(?)がま逆である事があることをなんども思い知らされた。

 

某医療センターにつくと、受付があり、看護師が数名いた。

 

みんな看護師っぽいし、受付っぽいけど、なんか 「ごっこ」感があった。

 

Professionalに見えないのだ。

 

そこにいたお医者さんはお医者さんには僕には見えなかった。

「どうしましたか?」

彼の診察室にはいると、いかにも医者っぽくない口調で僕に問いかける。

安心感0をいや、むしろマイナスを与えてくれた。