水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

ボストン初日

初めてのボストンの朝 

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それは初めての外国の朝。 朝になったらなにか変わっているかと思うものだが、これから色々な国を旅する過去の僕はまだ気づいていなかった。 どこに行っても体も心も変化しないのだ。 新しい朝が別の国で始まろうと。 自身に変化は起こらない。 

 

ルームメイトは朝になるとそれぞれ外へ出ていった。 せわしく出ていくなか、とくにやることはがない僕が家に残る。 右をみても左を見ても何がなんだかわからず、ドアから外に出たら、消えてなくなってしまうのではないかと言う恐怖があった。

 

ヒロシさんがお昼、外に食事に連れて行ってくれると聞いていたので受け取った合鍵を持って外に出た。 

 

外に出て誰かにあったらどうしよう。声をかけられたらどうしよう。僕の英語が伝わらないことに気付いた僕はただの怯えるうさぎだった。 

 

「Hello!」

なんて言われたらどうしよう。

 

頭の中で生産的でない想像をしながら外に出る。

 

家の真ん前には公園があった。

その公園の向こう側にはボストン美術館があるらしい。 公園をふらふらする。 日本では感じない公園の雰囲気。人はほとんどいないけど綺麗に整備された感じがしあた。ほとんどが緑。緑だけど見なれば緑ではなかった。 黄緑の植物が多い。真黄緑のものばかりではないけれど淡い色のものが多かった。

 

幻想的な世界を夢見た僕は、海外はいつもヨーロッパの美しい景色を想像していた。 方角としては全然逆方向ではないが、なんだか僕はヨーロッパとは関係のない真逆に位置するところに来てしまったなとも思った。

 

アパートから外に出て向かい側にしか足を運べなかった。後ろには車の音達が聞こえてが振り向いてそこまで行く勇気がなかった。 

 

「たぶんヒロシさんが連れて行ってくれるだろう」

 と勝手に思った。

昼になるとヒロシさんが戻ってきて、お昼につれていってくれた。大通りは坂を上ってすぐだった。 

 

見渡すものは全てが日本と違っていて、エイリアンが道を行く。車や機械の音まで地獄の響きに聞えた。