水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

前世の絵①

記憶にないが記憶にある自分の描いた絵 

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Artwork by Satoshi Dáte

そして次の日になって僕はその先生の言われた有名な美術館に行くことにした。 スケジュールなんてないのだ。1か月後にニューヨークに行けばよい。それだけがぼくのスケジュール。

今思い出したが、僕は帰りの飛行機をニューヨークに無理やりした。否応でもニューヨークに自分という駒を持っていくためだった。

 

予定といったらそれくらいだ。1か月は長い。となぜかおもっていた。一人旅行なんてしたことないくせに。

 

エミール・ノルデはローカルのアーティストなのだろうか?いや彼はドイツの作家らしい。ではなぜ都合よく彼の作品がボストンにあるのだろうか? ボストン美術館だけでなくて、たくさんの美術館があるとみる。

 

ボストンは州の中の中心地。そんな州が沢山アメリカにあるのだ。 これは驚異的な事だと僕は思った。 ノルデがどれだけ偉大な人物か知らなかったが、ボストン美術館のコレクションに度肝を抜かれていたので、適当な作家ではないだろうと僕は思った。 意外と昨日会った教授のたんなる趣味だったりするのかとも思ったが。そうとも思えない。

 

本当にアメリカという国は色々なものを蓄えている。 イギリス留学で感じたことだがイギリスの大英博物館やナショナルギャラリーそしてTate Modern ギャラリー。 素晴らしいものの宝庫だ。 日本でそんなところが数多くあるだろうか? 

 

日本は何でそういうことをしなかったのか? まったくもって戦略がなっていないマーケティングなんてこともブランディングなんて言葉もなかったからだろうか? では徳川幕府というのは幕府はブランディングではなかったのだろうか? 

 

僕は美術学校でひたすらデッサンをしたり、平面構成、立体構成をしたりとつまらないことをずっとやってた。 何年もアカデミックなことを勉強した後に、筆を何気なくとり、ささっと自分の絵が描けるようになった。 

 

なにか天から降ってきた言葉をそのアカデミックな技術が受け取り、すすっと筆から通電してくれたような気がした。

 

アカデミックな技法を教わっていた時、 

 

「君は一体どこからやってきたんだ? 君の絵は日本人じゃない」

 

と言われた。 でも僕と一緒に通っていた学校の子たちは西洋のものばかり学んでたし、しょっちゅう洋書屋などに行ってた。 日本画を研究していた人なんて一人もいなかった。 西洋の洋画が好きなのは当たり前。 やっぱりアートの発祥の地は西洋だ。 

 

不思議なことに、周りのみんなも、美大でみるみーんなの卒業制作がどうしても好きになれなかった。 なんとういか日本臭さがあるのだ。 それはなんというか怨霊にも似ているものだ。

 

嫌な音が、匂いが、絵から感じられるのだ。 それをあえて消したわけでもなく。もともとそんなものは僕の中になかった。 

 

さて、それはなぜか、ぼくはこのノルデの作品を見に足を運び、目の前にして答えがなんとなく分かったようだった。

 

>続く