わけのわからん病気になる
意識がやっとはっきりし始めた子供時代。 その意識を朦朧とさせた腹痛の病気。
掛かりつけの医者はただ注射をうつだけで、
「まだ治らないか… おかしいなぁ」と。
僕はなんとなく不安だった記憶がある。
「死ぬのかな?」
と
その頃、周りの親戚や両親の友人もどんどんと亡くなっていくので、そういうものなのかなとも思った。
母親も心配していたので、なおさら不安だったと思う。
ある日、やはりお腹が痛いので、普段通っているお医者さんのところへ行こうとしたら、休みが数日続いているようだった。
しょうがないので同じ道の先にある別のお医者さんのところへ行った。 僕らはそっちの医者に掛かったり、こっちの医者に掛かったりと気まぐれだった。
違いと言えば、置いてある漫画の内容が違う、100m先にあるお医者さんのほうが印象がよかった。 注射しないし。
どちらもいつも雰囲気が暗い。
どんよりして、大きな金魚の水槽があって。
診療所とはそういうものなのだろうか。
現代のクリニックはやけに明るくて逆に奇妙だ。
患者の順番がきて
「○○さーん。」
と看護婦さんが呼ぶのがなんとなく不気味だった。
恐ろしく単調な響き。
温かみを感じさせようとしても不可能なくらい何千回もを呼んできたことで、ひどく事務的な呼びかけになってしまったのだろうか。
もう一人の先生は胃腸科だった。
おじいちゃん先生と仲のよい息子の若先生。
二人は丹念に僕の体を調べて、皮膚と皮膚の間にある紫斑をみつけた。
そこで病名がわかり、すぐに病院に運ばれることになった。
なんやら血が胃からにじみ出てくる病気で、激痛が走る(小さかったので記憶にあまり無い)らしい。
よくわからないけど病院にタクシーで運ばれ、即入院になった。