ロックダウンから開放される
その日の夜は眠れなかったような気がする。
暑い夜で、息ができない、まくっらの天井がだんだん僕に近づいてくるようで、近くに寝ている兄も兄でないような。
とにかく誰かにだまされているような気がした。
病院で病気と闘っている子供たちが、死と隣り合わせにいる人達が現実で、僕らはその枠から飛び出した、関係のない世界の人間のような、僕はどうしても病院もどらなくてはいけない気がした。
病院にいれば
小学校もないし、中学受験も大学受験も就職活動もない。
大人になることに僕は小さい頃から不安でしょうがなかった。その現実がまた舞い降りてきた感じだ。
小学校に戻って友達ができるだろうか? 一人でやっていけるのだろうか?
いつ家族と離れ離れになるのだろうか。なんて沢山の想いがあった。
退院してから、仲のよかった肝臓病の友達に会いに病院へ見舞いに行った。病状が悪くて会うこともできなかった。
母だけが会うことができて、話をして帰ってきた。
もうここには戻ることがないんだな。と実感した。 彼は長い間生きていられるのだろうか? 初めて友達の死を心配したのがこのときだったと思う。
また病気になって、病院に戻らされる恐怖と、これから現実世界で生きなくてはいけない社会の中へ入り込む恐怖と、二つの恐怖に引き裂かれそうになった。
病院での断食の話はここでおしまいです。
またすぐ後に入院することになるのですが、それはまた後で話します。
とりあえず最近の断食の話の続きを描きます。