水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

夏なのに寒くて眠れない

初めて食べたボストンでのタイ料理 

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ひろしさんがタイ料理は世界で一番美味しいものと言っていた。僕はタイ料理を食べたことがあるはずだったが、初めてのものを食べているような気がした。  

 「Thai food is the most delicious food in the world」

 

とは英語でぼくには言わなかったが、彼が言いそうなセリフだった。このあとThe most(世界で一番)という言葉が彼の口からひっきりなしに現れる。 日本語で彼は間違いなく僕にタイ料理のおいしさについては伝えたのは間違いなかった。

 

連れて行ってくれた場所はなんとも家からすぐ近くだった。坂を上って大通りにでて右に曲がったところ。こんだところに二人で座った。 僕の左には大きな観葉植物が置いてあって、それだけでもうんざりした。 

 

頭の中は絶望感でいっぱいで、ヒロシさんの言葉にたいして相槌をうつことが背いっぱいだった。 頑張ってもなかなか口に入らない。 おまけにからかったから、美味しいというかただ辛いことが頭にきた。 

 

美味しいのか美味しくないかなんて、そんな哲学的な事をなぜぼくにこのタイカレーは問うのか? 

 

イギリス留学してる間にタイのグリーンカレーが好きになって、自分で作る習慣ができるなんて想像もできなかったと思う。

 

殆ど食べることができなくて、食事を終えた。とても失礼なのはわかっていたが、おなかが痛いとか適当なことを言って食べるのをやめた。 彼はこんなにおいしいものをというように残念そうな顔をしていた。

 

最初の日だけは普通に眠れたと思う。でもその次の日から僕は眠れず、体を震わせて、悪寒との戦いだった。 だれもいな寝静まったアパートで、ぼくは湯をバスタブ(bath tub)にいれて、一人で(一人なのはあたりまえだが)湯につかって寒さがいなくなるのを待った。

 

何も食べれず、眠れず、気分は苦しくなる一方だった。