水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

芸術の街ボストン

心のゆとりとアカデミックの洗脳

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          painting by Satoshi Dáte at Harvard Uni.

ヨーロッパに来たことはなかったけれど、アメリカは意外とヨーロッパの雰囲気がするなと思った。ギャラリーはいたるところにあり、クラシックの生演奏なんてそこら中で聞ける。 

白く光るガラスの向こう側にアンサンブルがおしゃれなカフェで静かな音楽を奏でている。

 

こんな光景なんて日常茶飯時のような感じがした。日本じゃ考えられない。ジャズもロックもいろんなところで手軽に聴ける。

 

僕の日常といえば、家にいる皆をスケッチしたり絵を描いたり、英語を勉強したり、ヒロシさんと出かけたり、たまにふらっと公園に行ったりそんなことをしていた。とてもそれが3週間で起きた事と思えなかった。ゆったりと1年間ぼんやりしていたような、毎日せわしなく忙しくしていたような充実した3週間。

 

最初の一週間は、とにかく慣れることだった。いや、慣れようと努力したわけではないけれど、振り返ってみれば慣れるための努力であった。 ヒロシさんとみんなと一緒に居るときは英語でなるべく話すようにしたり、ヒロシさんについて行ったり、英語を机に向かって勉強したり、美術館に行ったり。

 

あまりにもジャズの雰囲気が濃い場所だったので、僕は非常にジャズに影響された。ひろしさんは個人レッスンで時々サックスを生徒に教えていた。

 

気まぐれの僕は、僕もちょっと教わりたいなと思った。彼はクラリネットを始めすべての管楽器を受けるらしい。

 

家の近くにあるバークレー大学はジャズで有名だ。 POP音楽もそこで勉強ができる。そこで僕はなぜポップの勉強するのかよくわからなかった。

 

音楽を勉強しないといけないポピュラーな音楽だってそう。 Popularな音楽。僕は完全にその言葉に洗脳されてしまった。 

 

だから僕もこれは音楽を勉強しないといけないのかもしれない、なんて思ってしまった。どこへ行っても、学生だらけで、音楽家はみんな大学に入ってるのだ。ポピュラー音楽をやるのに大学に行くなんて日本で考えたことがなかった。

 

でもそれはスタジオミュージシャンになるためとかじゃないかと思った。でもヒロシさんは作曲するのにも理論が必要だし勉強をして無駄なことはないと言われた。 彼のいう事を鵜呑みにはしていたが、果たしてこの人はPopular音楽を理解しているのだろうか???そんな疑惑がよぎった。

 

僕は興味が湧いたので大学の中に入ったりしたでも別に大学の中に入ったからってみんなが個人練習してるところを見ることができるだけで何ができるわけでもない。

 

ヒロシさんと街を歩くと彼は知り合いが多いので、話しかけて立ち止まったり、止められたりした。みんなエレキギター、チェロや様々な楽器を抱えている学生やミュージシャンばかりだった。リュックサックみたいに楽器を皆背負っていた。日本ではそういう格好がダサいとされていたから、なんだか違和感を感じた。

 

音楽を学ぶ?

 

今考えてみればではビートルズはどうだったのか? Rolling Stones はどうなのか? U 2なんて楽譜が読めないからオリジナルを作曲したということだ。

 

本当にロックをするために大学で勉強する必要はあるのだろうか?

 

ハーバード大学やMITなどまさに大学の宝庫であるボストンは勉強しないと駄目!

 

というような雰囲気がある。

 

大学受験が嫌でここに来て...もちろん大学を目指しているわけだけれど、何かアカデミックな、ヘビーな、ブルジョワな、宗教的な、不気味な世界にいつの間にか自分がいた。