水に浮かぶこころ

英国在住アーティストが綴る不思議なドキュメンタリーストーリー

もひとつ、ロケットエンジン

もう一人いました。

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                        painting by Satoshi Dáte

いつボストン行くの?と思ってらっしゃるかもしれませんが、もう一人旅立つ前にお尋ねした人がいました。美術予備校の先生でとても好きな若い先生。電話してスタジオに訪問することに。

 

僕はずっとデッサンやグラフィックの平面構成、立体構成を勉強していた。中学の時は美術部で絵を描いていたが、ろくな絵は描いていなかった。学生のコンペティションで佳作かなにかと

った記憶があるが、今思えばどうでもいい賞だった。

 

しばらく予備校で上記のアカデミックな訓練ばかりしていたので自分の絵を描いていなかった。 それで筆をとって描き始めたら、自分の思ったような絵が描けることに気付いて、感動した。その頃は狂ったように描き続けた。ご飯を食べては絵を描き。寝て起きては絵を描き。ただただ絵を描くことだけに没頭していた。

 

その絵を見せにそして留学の事を話しに先生のところに訪ねた。

 

東京のどこかの田んぼが沢山ありそうな地域。スタジオにいくと先生ともう一人の作家がいた。二人は画家。 話をしたあとに僕が作品をみせると、想いも知らないことが起きた。 

 

二人は僕の作品に酷く感動してくれて、やたらと褒め始める。 なんだかキツネにつままれたようで。先生たちはふざけているのかと思った。 構成のことだとか色遣いだとかなんかしらないけど、称賛された。 

 

「欧米だったら評価されるんじゃないかな」

とか言われた。

 

予備校にいるときも、彼に

「とりあえず日本じゃないよね」

と僕の絵についていわれる。予備校にいると他の人達と絵が似てくるが、先生が言うのは僕に日本っぽさのかけらもないということ。 日本に育ってなんでこういう西洋的なタッチで描くのか謎だとよく言われた。

 

僕は誰か西洋の作品をひたすら真似したわけでもない。影響といったら、皆と同じように良く美術館に行って西洋の作品を見たくらいだ。

 

このことで僕は

アートに先生、生徒もないんだな

と想った。

 

新しい方向に向かおうとして多少不安だった気持ちにまた励みをもらった。留学をしようと決めた時からまるで大人達が一緒になってサポートしてくれる気がした。

 

ロケットエンジンのパーツを周りの人達が何個もつけてくれているような、そんな感じがした。